FC2ブログ

スパイ教室04 《夢語》のティア

著者:竹町



クラウスの活躍により捕らえたスパイ殺し『屍』。その『屍』の情報により、帝国に『蛇』なる組織があることが判明する。『蛇』の尻尾をつかむべく、『灯』は、敵の巣がある合衆国の大都市ミータリオへと赴く。だが、そこで『灯』を待っていたのは、彼女らを狙うスパイ殺しの刺客たち。そんな中、任務指揮を任されたティアは、前回の失敗により、自信を喪失していて……
2020年366冊目は、『このライトノベルがすごい!2021』で、協力者として1位に推した本作を。
このシリーズ、ひっくり返し、というのが売りになっているのだけど、この巻についてはひっくり返し、というよりも、過去の巻で一番、キャラクターの掘り下げというのが強く出ている巻かな? という感じがする。
そして、今回の主役となるのが、3巻でも語り部として描かれていたティア。その時に、アネットのことを考えて動き、結果としてその母・マティルダから「お前は甘い」という指摘をされてしまったティア。そのことは、彼女自身が自覚していたこと。さらに、冒頭の粗筋では省いたのだけど、この巻の冒頭で『灯』が課題であるクラウスを倒す、ということに(ほぼ)成功するのだが、そこにも彼女だけは関われなかった。そんなところから、ティアが劣等感を抱くところから始まり、それが今回のテーマと言える。そんな中でのミータリオ潜入。
ミータリオで『灯』の面々に襲い掛かる刺客。そんな刺客たちと戦う『灯』の面々。先に書いた、クラウスを追い詰めたときもそうなのだけど、危機的な状況であるが、それぞれの技能を武器に危機を回避していくメンバーたち。ここで見せるメンバーたちの活躍って、第1巻時点の、ヘッポコそのものだったメンバーと比べると、クラウスじゃないけど「成長した」というのを感じさせて格好良い。そして、だからこそ、ティアの劣等感はさらに募ってしまう。だが、それでも追い詰められていくメンバーたち。そんなティアに対し、指揮官を命じたクラウスが送った言葉は……
「お前には頼れる仲間がいる」
ひたすらに劣等感に飲み込まれていくティア。それぞれの力を発揮しつつも、追い詰められていくメンバーたち。その中で、ティアをかつて救ったスパイの「ヒーローになれ」という言葉と、クラウスの言葉。それが意味するものは……
丁度、今回の敵、紫蟻が、「支配者」として刺客たちを文字通りに支配しているのと対照的な存在。この辺り、前巻でのアネットに対する姿勢とかからも明らかだったわけだけど、それが武器である、というのは納得できる。スパイにとって「甘い」っていうのは一見、弱点に見えるんだけど、それだけではないはずだしね。
ひっくり返しの要素って、今回はそれほど強くないのだけど、ティアの悩み、そして覚醒の物語として、素直に面白かった。

No.5703

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0