FC2ブログ

古着屋・黒猫亭のつれづれ着物事件帖

著者:柊サナカ



会社の倒産と、アパートの火災。職も家も失った元OLの波子。香川県琴平で、亡き祖母が住んでいた空き家を管理することになった彼女は、服を調達しようとし、古着屋・黒猫亭を発見する。まるでトップモデルのような容姿をしたした店主・マリィに勧められるままに着物を購入。さらに、常連だというカコから、着物を譲り受け文通を始めるのだが……
「着物事件帖」というタイトルから、謎解き、ミステリー小説という印象の強いタイトルではあるのだけど、着物を巡ってのちょっとしたエピソード集というような印象が強いかな? という風に感じた。
着物……和服……実は自分、着た記憶が全くない。七五三か何かで着たかもしれないけど、流石に覚えていないし、女性なら成人式とかもあるんだろうけど、男の場合、そういうのもなかったしなぁ……。そういう意味で、自分は主人公の波子以上に着物=敷居が高い、というイメージを抱いている、というのを読み始めてまず思った。
が、その直後にマリィがいう「和服は、昔の人たちが不通に来ていた服。洋服と同じ。フォーマルな場では、色々としきたりが必要だけど、日常で着るのにそんなものは必要ない」の言葉に、確かに! と目から鱗でそこで興味をひかれた。そして、波子と同様、着物に関するアレコレというのに入っていくことが出来た。
とは言え、やっぱり現在、普通に来ている洋服と、着物では色々と違いが。それこそ、カジュアルで着る洋服は、洗濯機に放り込んでスイッチオン! で選択とかが出来る。着物も、素材などに気を付ければそれは可能。しかし、自分で縫ったりとかそういう必要があったり……。着物を楽しむようになりつつも、そういった裁縫とかが全くできない波子の悪戦苦闘とかを、同じ目線で感じられた。
ただ、その中で4編目『帯結びと裸の王子』はギャグだよな、と。黒猫亭で波子が出会った医師・瀬川。スプリングコートの下は、なぜかパンツ1丁。彼には彼の事情があり、やり取りをする中で良い人だ、というのはわかるのだけど、でも、裸。ちょっといい感じの関係になってきたときの、「この人はいい人だ。でも、なんで裸なんだろう……」という波子の微妙な切なさとツッコミが加わった想いに思わず笑ってしまった。
そんな物語は、貧困とか、そういうエピソードなどを入れつつ波子の文通相手・カコについて……。読んでいるうちに、実は……っていうのは薄々、予想はつく。ただ、ファッションについてのジェンダーとか、そういうものを考えると、カコ、マリィが波子に対して親切にしていた理由とか、そういうのがわかる。その辺りで、ほっとした気持ちで読み終われたのも良かった。

No.5710

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0