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攫い鬼 怪談飯屋古狸

著者:輪渡颯介



怪談を聞かせるか「怖い場所」に行くと無料なる妖しい飯屋「古狸」。看板娘のお悌を目当てに通う虎太は、今日もまた「怖い場所」へ赴くことに。そこで出会ったのは自分の子を探す幽霊。その幽霊の頼みに根負けし、「信吉」という幽霊の息子を探すことになってしまい……
シリーズ第3作で、完結編。
正直、著者の過去シリーズである『古道具屋皆塵堂』や、『溝猫長屋』シリーズと比べてちょっと盛り上がりに欠けるな、という思いがあったのだけど、やっぱりここでシリーズ完結になってしまったか……という思いが強く残る。
物語は、長編ではあるのだけど、短編のような形で物語が進んでいく。最初の話で、幽霊に対し、その子供を探すと約束してしまった虎太。しかし、探してもその情報は手に入らない。そんな中、植木屋のご隠居から、時代を超えて子供を助けてくれた犬の話を耳にする。さらに、そんな事件の中で子供を攫っている存在、さらに、20年前に活躍していた「鎌鼬の七」という盗賊とそっくりな仕事をする者の存在が見え隠れしてくる……
虎太自身は、信吉探しに四苦八苦し、しかも、古狸で苦手なカボチャを「嫌い」と言ったことでお悌に嫌味を言われて、ひたすらにカボチャを出させたり……と言ったアレコレはある。あるのだけど、でも、子供を誘拐している存在というのが明らかになる中でシリアスな空気が漂い始める。しかも、その中で、虎太の動きを、古狸の常連である岡っ引き・千村が監視し始める。鎌鼬のお七らしき盗賊も何者なのかわからない。着々と、巨悪とでも言えるような存在が見え始めて、その中で誰が味方か、誰が敵なのか? という緊迫感あふれる展開になっていく。時折、ギャグはあるのだけど、これまでの作品の中でも、最もシリアスな展開っていうのは、完結篇ならでは、っていうところだろうか?
そんな事件の結末。一応、事件の真相とか、そういうのは明らかになるのだけど、でも決して後味の良い物、とも言い難い終わり方。その一方で、そんな事件については知らないお悌らは、いつも通りの日々が再び……。この辺りって、陰惨な事件を調べる存在と、それを見聞きしてもあくまでも傍観者的な一般市民。そんな距離感っていうのを示しているのかな? なんてことを思ったりする。

No.5711

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