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ババチャリの神様

著者:皆藤黒助



父親が失業し、住み慣れた東京から、日本海の孤島・四葉島へと移住した高校生の鳥羽心一。東京への未練を断ち切れない彼が蔵で発見したのは、祖母が使っていた自転車。しかも、その自転車には、祖母の霊が宿っており、強く願って漕げば、その場所へ瞬間移動する、という不思議な力を持っていて……
青春モノ、と言う感じだけど、なかなかのドタバタ劇っぷりが楽しかった。
物語の導入は冒頭に書いた通り。父の失業により、四葉島へと移り住むことになった心一。彼は、その途中、島の観光アピールのポスターに写った少女・雨音に一目ぼれ。間もなく、彼女とも知り合い、仲良くなるのだけど、なかなか思いは告げられない。そんな中、祖母の霊が宿った自転車を発見し……
思いを込めて焦げば、その場所へと瞬間移動できる。けれども、自転車ごと。それを使って東京と島を行き来するのだけど、東京に行くたびに、不良(?)の蛭間さんのスイーツを破壊したり、島へ戻るとき、自宅の食卓に突っ込んで雨音に怒られたり……。青春もの、ではあるんだけど、ドタバタコメディ的な部分が強く出ている感じかな? 島の中には、ヘンテコな機械などを作る研究所があったり、島ではあっという間に噂が広まってしまい、しかも、なぜか瞬間移動なども受け入れられてみたり……かなり鷹揚な世界観というのが広がっている。
その中で、でも、一番、しんみりするのは第3章の『恋の師匠とババチャリ』。雨音のことが好きだが、なかなか言えないでいる心一。そんな中、島で出会ったのは、毎日のように愛を叫んではふられている老人。彼のことを「師匠」と呼ぶのだが、いつも、大声で愛を叫んでいるのにはちゃんと理由があって……。毎日、同じ相手に告白しては振られる。けれども、めげない。ずっとコメディタッチで描かれつつも、その中にある、師匠の相手への想い。それが判明したときの切なさと、でも、師匠の健気さ、というのがジンとくる。
そんな中で、雨音らと東京へ行ったりなどもあって、少しずつ距離は近づいていく。そんなとき、雨音にアイドルのスカウトの話が来て……
雨音の決意。そんな中での、スカウトの裏の顔。それって、そんなことをしなきゃいけないの? というような部分もあるんだけど、そういうのも含めてこの作品らしい、のかな? 終わり方も含めて、深刻になりすぎない、明るい物語という感じで楽しかった。

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