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それでも、好きだと言えない

著者:赤月カケヤ



夏の終わり、人付き合いが苦手な悠人の前に現れたのは記憶喪失の幽霊・レイナ。レイナに取り憑かれた悠人は、彼女を成仏させるべく、記憶を取り戻す手伝いをすることに。しかし、天真爛漫でお節介なレイナの存在は悠人の日常を大きく変えていって……
ちょっと前に、ライトノベルとかの世界で流行った「一夏のボーイ・ミーツ・ガール」作品だな、と。
勉強はできるが、人付き合いが大の苦手、周囲からは自分たちを見下している、と言われる悠人。クラスメイトの白浜さんに密かな想いを寄せているが、しかし、それを告げることも出来ない。そんな中で現れたのがレイナ。彼女に取り憑かれた悠人は、記憶を取り戻す手伝いをする……ということになるのだが、しかし、なぜか彼女に振り回されて遊びに付き合わされるばかり……
レイナのキャラクターっていうのが何よりも魅力的。本当、基本的には悠人を振り回すばかり。けれども、お節介で、悠人が理不尽な目にあっているのも許せない。そんな彼女の助力などもあり、全くまとまっていなかった文化祭の準備をまとめ、白浜さんともレイナの存在を巡って良い感じに。そんな感じだからこそ、レイナにだんだんと惹かれていく。そして、何よりも悠人自身が変わっていく。レイナが凄く大事な存在に、という過程が丁寧だし、当初は卑屈なキャラクターだった悠人が変わっていく様、というのにも説得力がある。まぁ、文化祭の準備などで、無茶苦茶、挑発してとか、変わりすぎだ、って気がしないではないけれども。
しかし、そんな中でも時間は経過していく。その中で気づくユウナの正体。悠人の過去との因縁……
レイナを救わねばならない。しかし、そもそも、ユウナを幽霊にしてしまったのは悠人自身。だからこそ……と思った矢先に知るレイナの心残りの正体。だが、その相手は……。レイナを巡る三角関係。その中で、相手の男に対して悠人が感じる「同じだ」という思い。だからこそ、レイナによって変わった悠人は……。物語は前半と後半で、カラーそのものが変わってきているのだけど、でも、この前半の、悠人自身が変わった、という過程があるからこそ、後半の行動に繋がるのは間違いないし、それを1巻という分量の中で描き切ったのは見事だと思う。
「それでも好きだと言えない」
という言葉の意味。ちょっと切ない読後感と合わせて、きれいにまとまった作品。

No.5715

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