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谷中レトロカメラ店の謎日和 思いをつなぐレンズ

著者:柊サナカ



東京・谷中でクラシックカメラを専門に扱う今宮写真機店。三代目の店主である今宮と、アルバイトの来夏はカメラにまつわる謎を解きつつ、その距離を縮めていた。そして、今日もまた、カメラにまつわる謎が持ち込まれ……
という連作短編集。全7編収録で、シリーズ完結編。
今巻は、思いをつなぐレンズ、とあるけれどもまさにそんな感じで、カメラに込められた思い、というのが強調されている印象。
1編目『光と影の家族写真』。紅葉の写真を撮りに行った今宮達。そんなところで、老婆がひったくり被害にあう、という事件に遭遇。近くの池で、ひったくられたカメラを発見。老婆は、写した写真を現像してほしい、というのだが、そこに写っているのは単なる地面……
カメラで何を撮るのか、というのは、その人それぞれ。それこそ、今宮や来夏が取っていた紅葉の写真だって、それぞれの観点で切り取ったもの。だとすれば、地面の写真だとしか思えなくても……。何気ない、というよりも、他の人には何だかわからないものでも、そこに込められた意味がある。そんな思いを感じさせる理由だった。
魚釣りの仕掛けにカメラが引っ掛かってきた、という『カメラと海と満月と』。水中撮影をするために作られた、というカメラ。その構造、今宮の技術もあって修理は完了。残されたフィルムの現像にも成功する。そこに写っていたのは一枚の写真。その被写体の女性を見つけることが出来たのだが……
女性の若き日の出来事。その秘された時間に起こった出来事。今宮の、写真の技術、知識。そこから導かれた、その人の人生を決定づけた時間が明らかに。今でも、こういうことってあると思うのだけど、それが数十年前なら……。そんな時代の、秘められた思い、っていうのも写真は切り取る。ある意味では残酷な面も、と言う感じすらした。
そして、最後の『顔の見えない勇者たち』。写真を題材にした婚活会場で知り合ったという二人が来るようになったのだが、ある日、その男性が、女性に裏切られた……と言い……。写真を巡るアレコレ。こちらも、その女性の過去とかが明らかにされ、という話ではあるのだけど、果たしてその女性の想いは嘘だったのか? こちらもプロである今宮から見ての、彼女の本気は……。そういうものも、やはり態度でわかるんだろうな。そして、そんな今宮と来夏もまた……
今宮と来夏のところが、後日談的になったのはちょっと残念だけど、きれいな終わり方だったんじゃないかな?

No.5717

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