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ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失

著者:辻室翔



あらゆる道を究め、そのどれもがプロ級。しかし、全てが趣味だという「史上最強のアマチュア」未十士早來。そんな彼女の現在の趣味は、未来を写すことできる「超理具」と言われるカメラに映った人体消失の謎を解くこと。作家志望の僕、唯乃壱時はそんな早來にいつも突き合わされて……
かなり不思議な感覚のミステリ作品。
物語は、冒頭にも書いたように、早來が未来を写すことが出来るカメラで撮影した不思議な事件の謎を、壱時と共に解決する、というのが基本的な構図。未来を写すことが出来るカメラ。言い換えれば、まだ起こっていない事件の謎を解く、という話になるわけだけど、その中での推理の過程などはしっかりとロジカル。例えば、1編目の話。器物破損と共に発生した人体消失。その謎を解くため、その時間に合わせてカメラで写真を撮る。そこに写し出された諸々から辿り着いた結論は……。文化祭の準備という状況。そして、「最強のアマチュア」と言われる早來の存在。そんなものがほろ苦い部分を含めた謎解きとなっており、しっかりとしたミステリ作品として完成している。
というところから物語が始まっていくのだけど、だんだんと物語は思わぬ方向へ……
一応、ネタバレになるのだけど壱時も持っている超理具の、時を巻き戻す懐中時計。そんな超理具とは一体何なのか? 早來の持つカメラは、なぜか喋ることが出来る。それは何なのか? 物語の謎は、そんなところへも突き進んでいく。
謎解きそのものは、その独自のルールを踏襲しながらもしっかりとロジカル。そして、そんなロジカルさの中にある、ある種の狂気。それでもって、しっかりと1巻ですべての謎、伏線と言ったものを回収してしまう、という構成の妙。しっかりとまとまっている、という完成度の高さは見事の一言。
その上で、このキャラクター造詣が良い味を出している。自分が美少女で、とか、そういうのを自覚している早來と、それに振り回される壱時。そのやりとりの軽妙さがあるがゆえに、終盤の、ある種の狂気とも言えるものが光るように感じる。その辺りも、多分、計算づく、なんだろうな。そして、ラストシーンも……
何か、これで完結したような感じもしないでもないのだけど、続編も読みたいな、というのが素直な思い。

No.5721

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