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ひきこまり吸血姫の悶々4

著者:小林湖底



とこしえの桜が舞う国・天照楽土。六国大戦の盟友・カルラから招待を受けたコマリは、そこで次期君主を決める「天舞祭」の開催を知らされる。他人事だと思っていたコマリだが、カルラは自分の陣営にコマリが参加する、と高らかに宣言してしまう。意図せず巻き込まれたコマリ。それでも、カルラに任せておけば……と考えたコマリだったが、カルラは実は……
シリーズ第4作となって、ある程度のパターン化をしてきたかな、というのはちょっと思う。
冒頭で、実は、なんて引っ張った形でまとめたけど、カルラは、天照浄土でも最強クラスの将軍……というのは、実は嘘。コマリは、カルラに任せればよい、と考えているし、反対にカルラはコマリに任せれば……なんていう甘い考え。そんな状態からのスタート。そのカルラの対抗馬であるカリンは、天舞祭に勝つことだけを考えて鍛錬してきた存在。それをどうするのか? というところになって……
今回も、コマリの、人をしっかりと見る目、というか、他人の想いをしっかりと汲み、それに協力したい、という心情は一緒。カルラは、本当は君主などではなく、お菓子屋さんになりたい。そして、そのための努力を惜しんできたことはない。だからこそ、それを否定する者は許せない。この辺の優しさ、芯の強さってやっぱり格好良い。
そして、その相手となるカリン。幼いころから、君主になることだけを目指して鍛錬を続けてきた存在。しかし……
君主になる、という夢を持っているのは良い。けれども、その先がない。だからこそ、怪しげな存在を周辺にのさばらせ、その甘言に乗ってしまう。「カリンは器ではない」と周囲から言われ続けているのだけど、これもまた切ないところではある。確かに、その通り、ではある。あるのだけど、そうなってしまったのはこれまた周囲の環境とか、そういう部分の影響もあるはずだし。その辺りの違い、っていうのは凄く響く。
そして、その上で、明かされる真実。
お菓子屋になる、という夢を持っていたカルラ。そのために、まず、この戦いを……となっていたのだけど、普通に考えればとっとと辞めちゃえば良い、と言う気がするのだけど、それすらをも否定する形での決着。それが、カルラの運命だった、ということなのだろうけど、それはそれで結構、切ないものがあるんだよな。一応、明るい形でまとめられてはいるけど、でも、そこを知るとねぇ。
過去の巻同様、コマリの人としての強さ。それと同じようなカルラの、という点はある。ただ、その一方で、それがあるからこそ、自らの運命というのが、自分の願いとは違う方向にも行きかねない。これって、今後、コマリ自身にもついて回ることになることじゃないか、という予感を残す決着だ、とも感じた。

No.5735

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