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孤島の来訪者

著者:方丈貴恵



秘宝、秘祭、そして45年前の惨劇。様々な伝説の残る幽世島。その島を題材にしたドュメンタリーを撮影すべく上陸したテレビ局のスタッフたち。そのロケにADと参加する竜泉佑樹は、ある目的を持っていた。それは、ロケの参加者のうちの3人を殺害し、謀殺された幼馴染の復讐を果たすこと。だが、その標的の一人が、何者かに殺害された姿で発見されて……
著者のデビュー作『時空旅行者の砂時計』に続く、竜泉家シリーズ第2作、という位置づけになっているらしい。ただ、物語としては全く繋がりはないので、あまり気にしなくてよいと思う。
ただ、物語としてのトリッキーさは相変わらず。
冒頭に書いたように、幼馴染の復讐計画を臨んだロケ。しかし、何者かに先を越されてしまう。一体、何者が? あくまでも、自分が殺すのだ、という思いを抱く佑樹は、その犯人を推理する。その結果、佑樹がたどり着いた犯人は……。あんまりネタバレをしたくないのだけど、犯人(?)は人外の存在。しかも、特殊な力を持っており、その力によってまた一人、標的がその存在に殺されてしまう。
と、書くと何でもアリな話にも思えるのだけど、鮎川賞作家の作品らしく、その敵の能力には制約、法則が存在している。だが、その制約を打ち破るように次々と佑樹が殺害するはずだった相手が殺害されていく。一体、どうやって? そもそも、犯人(?)の行動の制約は一体何なのか? そして、その制約の中でどうやって相手を殺していったのか? 法則と言える部分の解明。そして、そのトリックの解明。二段重ねの謎解きを、しっかりと論理的に重ねていく様は、変則的な設定ではあっても、しっかりと本格モノとしての味わいを持ち合わせている。
そして、そんな謎解きによって一応の解決がなされた……と思ったところからのひっくり返し。
そのひっくり返しの中で、余談として出てきたような部分であるとか、ちょっと出てきただけの設定であるとか、そういうものも実はしっかりと物語に寄与していたのだ、というのが判明する。本当、作中に出てきたすべてのパーツが一つに収束していく様はすさまじい、の一言。本当、完璧なまでに完成された物語だと思う。
特殊設定ではあり、本格モノにありがちな、序盤、事件が起こるまでがちょっと長い、なんていう部分はある。敢えて欠点をいうなら、そこかも。でも、読み終わると、そんなものがどうでもよく思えるくらいの傑作だ。

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