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竜歌の巫女と二度目の誓い

著者:アマサカナタ



「私を守ってくださいますか?」 かつて幼き騎士ギルバートと交わした誓いは、呪いとなった。ギルバートに裏切られ、全てを呪いながら生涯を終えた少女は、その記憶を持ったまま生まれ変わった。奴隷として売られそうになった彼女は、青年となったギルバートに拾われ、ルゼと言う名を与えられた。望まぬ再開だったが、彼の屋敷の生活の中、ルゼの時間は動き始める……
第12回GA文庫大賞・銀賞受賞作。
「言葉は呪いとなる」 なんか、読んでいて、そんなテーマ性を感じた。
12年前に起きた革命。その中で、魔女として処刑されたルゼ。その処刑をした側には、かつて自分を守って、約束したギルバートが。自分の存在自体が罪。その状況に、全てを呪っての死。しかし、生まれ変わった彼女は再びギルバートに拾われる。勿論、ギルバートは憎き仇敵。しかし、その屋敷の生活の中で……
12年間と言う時間の流れ。子供であったオズワルドは立派な竜騎士となり、ギルバートに使える。そのオズワルドの姉で、ルゼが大好きだったアリスは、不遇のうちに死んだ。ギルバートは領主として精力的な活動をしているが、なにか影を感じさせる。その中で、なぜかルゼに対して特別に優しい。その背景にあるものは……前世のルゼの死と、その時の言葉。
世界をよくするために行われた革命。それによって世界は良くなった。そうはいう。しかし、その中で死んだ者もいる。傷ついた者もいる。だからこそ、かつての言葉は呪いとなって後々にまで残り続ける。それは、親友であったギルバートとオズワルドの中を引き裂くほどに……。そして、そんな事情を当事者としてかかわっていたルゼだからこそ、その想いもわかるし、また、全てを呪って死んだことの意味を思い知ることになる。
物語としては、かなり淡々と進んでいくのだけど、だからこそ、死んだ当時には思ってもみなかったそれぞれの苦しみ、立場……そういうものが理解でき、自分が周囲の人々をどれだけ好きだったのか、というのも自覚していく。だからこそ、彼女は、再びの悲劇を防ぎたい。そんな思い、というのがじっくりと描かれた作品だと思う。
続編が出ることが発表されているけど、1巻でもしっかりと完結しており、読み応えのある物語となっているのは確か。

No.5742

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