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人類最強のヴェネチア

著者:西尾維新



人類最強の請負人・哀川潤は、19歳にして心理学の権威・軸本みよりから依頼を受ける。その依頼とは、「ケーニヒスベルクの橋問題」の検証のため、ヴェネチアへと同行してほしい、というもの。メイド・班田玲も加わっての旅となるのだが、当のヴェネチアでは、溺殺魔が暗躍していて……
人類最強シリーズって、講談社ノベルスでの刊行だったのに、なぜか本作は単行本での刊行。講談社ノベルスも、レーベルそのものが廃止に近づきつつのあるのかな? なんていうのを思わずにはいられなくて、ちょっと寂しいのだが……
と、全く内容に関係のない話から始めてみたのだけど、これ、なかなか評価が難しいな。
物語の目的、主軸と言った辺りは冒頭に書いた通り。ケーニヒスベルクの橋問題で、おかしなことが出来た、ということで検証のためにヴェネチアへ赴く潤たち。潤、みより、玲という三人が、その目的のため……と言いつつ、ヴェネチア観光を楽しみつつ過ごす。しかし、その地では連続殺人が。しかも、その殺人鬼は、潤たちに対してもその牙をむいていく……という、結構、シンプルな物語と言える。
ただ、この作品、何を求めるのか、で評価が分かれそう。
物語は、各章、冒頭で犯人がこういう形で殺人を犯した。こういう理由で行動をした、というような独白が入り、その後、潤たちの旅の様子が描かれる。殺人事件が起きている、とは言え、潤の目的はあくまでも別にあり、積極的に関わるつもりはない。一方で、検証を真面目にやっているのか、どいうと、そうとも言い切れず、ガイドブックを手に、思い切り観光目的なみよりと、悪ふざけをする潤なんていうようなやりとりがず~っと続いていく。その中で、犯人はそんな潤たちの存在を注目して……という流れ。
正直なところ、潤たちの、ある意味で日常的な部分が面白いと感じるか、長いと感じるかで評価が分かれると思う。中盤以降、潤たちに犯人の魔の手が伸び、さらに、潤の幼いころの知り合いが現れて、でキャラクターの掘り下げなどにも繋がってはいくのだけど、途中までは潤たちのやりとりを楽しむキャラクター小説的な意味合いが強いため。好きな人は楽しいのだろうけど、自分はちょっとテンポが悪いな、という印象をぬぐえなかった。
その犯人が、どこに潜んでいたのか? そして、なぜケーニヒスベルクの橋問題が、おかしなことになったのか。その辺りについて、ヴェネチアという土地の特徴を持って回収する辺りは上手いな、とは思う。思うのだけど、果たして単行本1冊、300頁あまりという分量に対して丁度よい謎なのか、というと……
個人的には、ちょっと引き伸ばし過ぎじゃないか、という感じがしてならなかった。

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