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魔女と始める神への逆襲 道化の魔女と裏切られた少年

著者:水原みずき



定められた試練の達成により、超常の力「魔技」が手に入る世界。禁忌の魔技・神匣を心臓に宿すため、世界中から狙われる少年・ティクスの前に現れたのは、かつて世界中で暴虐の限りを尽くした「三大魔女」の一人・オヨチ。神匣を消し、「偉大な魔女様であるオレさまの目的は、この世の中への逆襲だ!」というオヨチと行動を共にすることとなったのだが……
第33回ファンタジア大賞・金賞受賞作。
ダークファンタジー、と言う風に紹介されているのだけど、確かにダークな要素はある。そもそも、主人公のティクスは、世の治安などをつかさどる魔導師。しかし、禁忌の力を手にしてしまったがゆえに、元の同僚らから追われる存在に。勿論、魔導師だけでなく、その力を求める存在からも。そんなお尋ね者状態の前に現れたのが三大魔女のオヨチ……
この作品、最大の魅力は何と言っても、このオヨチの存在だと思う。
物言いは傍若無人。物凄く大仰な物言いをして、ティクスを振り回す。そんな感じで始まるのだけど、魔力を失い、その魔力を取り戻す方法を探す、という師匠が旅立って100年。ただ一人、その家に閉じこもっていた。そのため、世間知らずなところは多いし、言葉とは裏腹にかなりの寂しがり屋。そんなオヨチの言動に振り回されながらも、ティクスはオヨチという「人間」を理解していく。そのオヨチの、強さと弱さ。そのバランスがいい塩梅で描かれていて、ティクスと同じく、だんだんとオヨチのことを「放っておけない」感じになってくる。この、オヨチ、というキャラクターがすごくいい。
そして、そんな中、ティクスの神匣を狙っての存在。元同僚のテトラ。他の存在と同じく、ティクスの神匣を狙う有象無象かと思いきや、ティクスを思っているからこその行動というのことが判明するが、しかし、そんな彼女が暴走をし、さらに黒幕が……
なぜ、ティクスの前にオヨチが現れたのか? そんな謎が判明すると同時に、オヨチにとっても試練が……。一旦は、二人の関係を断裂させたように見せかけての、しっかりと互いが互いを思っての行動。これも、先に書いたオヨチの「放っておけない」魅力があるからこそ、というのがよくわかる。物語のストーリーラインは、結構、シンプルだと思うのだけど、最小限度の人間関係の中で、それぞれのキャラクターをしっかりと掘り下げているため、これで十分。
ある意味では、二人とも、それぞれの立ち位置を失う結末ではある。けれども、ティクス、オヨチ、両者とも、互いに信頼できる「相棒」を手に入れた、という締めは満足度の高いものだった。

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