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ドッグデイズ 警部補 剣崎恭弥

著者:柏木伸介



ビスク事件。20年前、女性を殺害し、ビスクドールのようにその遺体を展示した連続殺人犯・雛形に対する死刑が執行された。だが、その執行直後に新証拠の存在が報じられ、さらに当時の捜査員が証拠捏造を告白して自殺した。ビスク事件の被害者と同級生であり、裁判にて重要証言をした刑事・剣崎。独断専行が多く、「狂犬」とも呼ばれる彼は、真実を求めて単独捜査に乗り出して……
人、死に過ぎ……というのはちょっと思ったり。
物語の中心にあるのは、雛形の死刑執行。連続殺人犯として、世間を恐怖のどん底に陥れた存在。しかし、同時に、その犯行に共感する者も多くいる。そんな中、疑惑に対する批判が勃発。さらに、20年前の事件そっくりな事件までもが発生。果たして雛形は冤罪なのか? そんなところが中心なのは確か。しかし、物語は多重構造の物語になっている。
というのも、狂犬と言われるように、とにかく独断専行が多い剣崎。その結果、担当していた事件で相棒を意識不明の状態にしてしまい、さらに彼自身が発砲をする、という不祥事まで起こしてしまう。そのため、監察に睨まれる存在に。当然、ビスク事件には関わっていないのだが、しかし、勝手に捜査に関わり始める。だが、剣崎をマークしていた監察官が何者かに殺害されてしまい……
剣崎が警察官になるきっかけとなったビスク事件。剣崎が担当していた住宅地での銃撃事件。それぞれは別の事件。にもかかわらず、なぜかその二つの事件は繋がり始める。そして、その中で法務大臣の長男という存在に注目が当たっていく。剣崎は事件を追う側ではあるのだが、しかし、同時に追われる側にも回る。その中で、本来の捜査権限がないにも関わらず状況をすり抜けながら真実へと迫っていく剣崎の姿は実にスリリング。そして、そういうバラバラの事件が一つに収束していって……
読み終わると、かなり人が死にまくるし、読み終わって色々とモヤモヤとする部分はある。あるけれども、こういう事件に関わる、っていうのは本来、そうなのかもしれないな、というのは思う。全くの部外者であればともかく、主人公・剣崎は事件に関して、当事者そのもの。本作の事件の結末は苦すぎるけれども、そこまでの大きな事件でなくとも、なにかモヤモヤするものが残るはず。色々とあるけど、その後味こそが印象に残った。

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