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遥かなる月と僕たち人類のダイアログ

著者:深雪深雪



「私の噂は――知っているでしょう? あなたには、クラスの皆の前で、その真偽を確かめる役を頼めないかと思って」 涼間鈴樹は、援助交際をしている、という噂がある炭風凌香から依頼をされる。その質問をすることで、噂を払拭したいのだろうと考えた涼間は、翌日、早速それを実行するが、なぜか彼女はそれを肯定する。そして、放課後、彼女は見知らぬ男性といる姿を見かけた涼間は後を追うが……
第9回講談社ラノベ文庫新人賞・大賞作品。
炭風を好きになった相手は、月の呪いによって死んでしまう。
そんな設定で、背景はかなりシリアスなもののはずなのに、炭風さんの言葉に、常に毒があるため、妙にコミカルなのが楽しい。何しろ、粗筋で書いた冒頭の依頼の時点で、涼間くんの名前を知らなくて「田中くん」呼ばわりだし。その後も、何かにつけて毒と言うか、ボケをかまし、それに涼間がツッコミ役に。シリアスなのに、漫才やっている状態になっている。
上に書いたように、炭風を好きになった相手は死んでしまう。ただし、しばらくすると月が生き返らせてくれる。ただし、その記憶を喪った状態で。その「好き」というのは、恋愛とか、そういう話じゃなくて、ちょっと劣情を抱いた、とかそういうレベルも含む。だからこそ、炭風は、男と一緒にいて、その相手が死んだ、と言う場面を涼間に見せた。そして、涼間にも迫るが、なぜか彼だけは死ななくて……
そこで炭風が、涼間は実は……みたいなやりとりをしたりはするのだけど、読んでいくうちに、涼間、炭風、その炭風に呪いをかけた「月」と言った面々の、不器用さ、人間臭さ、そういうものがジワジワと感じられて読ませてくれる。言葉は毒やら、ボケやらが多い炭風の真意。そんな炭風に呪いをかけた「月」の思っていること。好き、とか、そういう言葉を出すわけではないが、彼女に惹かれ、そして、彼女のために奔走する涼間。それぞれ、相手のことを想っている。寂しさとか、そういう想いも抱えている。ある意味でコミカルなやりとり、というのも、そんな思いの裏返し、と理解することも出来るし。
シリアスと見せかけて、結構、コミカル。でも、そんな裏には……
その辺りがしっかりと感じられた。

No.5750

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