FC2ブログ

失恋の準備をお願いします

著者:浅倉秋成



告白を断るため、適当な嘘をついてしまった女子高生。異常にモテるために、人間関係が破綻してしまう男子高生。盗癖のあるクラスメイトに惹かれていく男の子。同じ町を舞台にした恋と嘘を巡る連作短編。
全6編を収録。
キャラクターが濃いなぁ、おい!
物語は、同じ町を舞台にして、恋にまつわるアレコレを、ドタバタしたギャグタッチで描いていくのだけど、かなりぶっ飛んだ感じ。
例えば1編目『ウィッチクラフト』。高校卒業を間近に控えた満作は、同級生から告白を受ける。しかし、卒業後、自分は東京の大学へ。相手は地元の大学に進むらしい。遠距離恋愛は続くはずがない。そこで断ろうと思うのだが、上手く断れる自信がない。そこで考えたのは……
「私、本当は魔法使いなの」
テキトーすぎるだろ! しかし、その相手、日輪くんは、なぜかそれを受け入れてしまって……。無茶苦茶な嘘と、なぜかそれを受け入れて、それでも、という食い下がる相手、というよくわからないやりとりに笑わせてもらった。いや、それでいいのか、日輪くん……
3編目『レディキラー』。自分でも、容姿が良くない、と考えている梅木。そんな彼女のクラスには、なぜかやたらと女子にモテる蕗という男子がいる。梅木の目から見れば、言動などが気持ち悪いの一言。そんな冷めた目で見ていた彼女だが、蕗から、どうにかならないか、と相談を持ち掛けられる。傍目には羨ましいかもしれないけど、切羽詰まった蕗の状況と、冷めた目で見ながらもアドバイスをしていく梅木のやり取りがほっこりとしていた可愛い話。
5編目『オフェンスレポート』。学校内で起きた窃盗事件。犯人として槍玉に挙がったのは芙蓉さんという女子。そんな彼女をかばった折尾くんだったが、実際に芙蓉さんが盗みを働いていて……。盗みをしちゃダメ、という折尾くんと、何かズレた思考回路の芙蓉さん。小学生なのに、折尾くんのツッコミスキルがやたらと高くて楽しい。そして、そんな中でのちょっとした芙蓉さんの心遣いで終わる結末がかわいい。
そんな感じで進んできた物語が、最後は巡り巡って、町全体を包み込む大騒動になるのだけど……もはや、カオスそのもの。
……なんだけど、それまでのエピソードのずれたままの部分がきっちりとかみ合って、綺麗にまとまるのは見事の一言。カオスだし、ドタバタだけど、各編、そして、最後に温かい気持ちになれる。そんな作品だと思う。

No.5761

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0