著者:犬村小六
西のレヴァーム、東の天ツ上。果て無き大瀑布を挟んでの両国の戦争。「未来の皇妃を守って、敵中翔破」 天ツ上に突きつけられたレヴァーム自治領で働く傭兵・シャルルに下った指令。最下層出身のシャルルと、未来の皇妃、二人の旅が始まる…。
お世話になっているサイトで、「素晴らしい」と言う評価を目にして手にとってみたのだけれども、なるほど、確かに素晴らしい。読み終わって、素直に「面白かった」と言う感想が出てきた。
冒頭の、あらすじというか、導入部でわかる通りに、物語は至ってシンプル。(ちょっとした過去の因縁はあるけど)地位も立場も全く異なる二人の、二人だけの敵中突破作戦。幼い頃から、しきたりの中で生き、「自分はモノ」として感情を殺してきたファナ。混血ということで、蔑まれてきたシャルル。最初はぎこちないものの、戦い、飛行を通して、次第に打ち解けていく。そんなやり取りの中で芽生える両者の感情…。そして、別れ…。「お約束の流れ」と言えば、全くその通りの展開ではある。けれども、それが凄く良いんだ。
レーベルとしては、ラノベレーベルだし、カラーページとかに、「ソレっぽい」イラストとかもあるにはあるんだけど、物語の中に「いかにも」な描写とかは少ないし、また、全体的に淡々とした語り口で通されていたり…なんていう辺りで、「ラノベっぽくないな」なんていうことを思った。他のレーベルとかで出ていても全く違和感がないのではなかろうか?
物語の終わり方も印象的。素直なハッピーエンド、というわけではないけれども、透明感のあるラストシーンに、余韻…と私としては文句なし。
ラノベとかをあまり読まない人にも、是非、お勧めしたい作品だな、と思う。
通算1280冊目
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