FC2ブログ

彼女のスマホがつながらない

著者:志駕晃



平成30年6月。生活苦に苦しむ女子大生・咲希は、同じ大学に通う里香から「パパ活」をしないかと誘われる。売春ではないのか、と思いつつも、金銭のためやってみることにするが……。一方、令和2年2月。神奈川県の海岸で、女子大生の遺体が発見される。新型コロナウィルスの感染がニュースで伝えられる中、警察はその捜査を開始する。同じころ、写真週刊誌の編集者である友映は、「パパ活」に関する記事を担当することとなって……
うーん……このタイトル。著者の代表作と言える『スマホを落としただけなのに』を意識しているのだろうけど、スマホは物語に殆ど関係がない。
それから、本作は、写真週刊誌『女性セブン』に連載されていた、という経緯を持っている。そのため、平成30年から令和2年くらいまでの時事ネタ、主に芸能ゴシップネタが散りばめられている。ネット書店の作品では「2020年を感じられる作品」とあるのだけど、このあたりの話題って、時代を感じられる、という見方もできるけど、逆に時間が経過した後「古い」という雰囲気を醸し出さそうな印象も受ける。
なんていう、物語の本筋から外れた部分について書いてきたわけだけど、物語の中心となるのは、「パパ活」というものについて。
正直なところ、そういうものに自分が詳しいとは言えず、どちらかと言えばいかがわしいイメージのみ。そんなパパ活のアレコレなどを描いている、ということになるのかな? 生活苦からパパ活に興味を持った咲希。スマホアプリなどで、相手の男性と出会い、食事などをして金銭を貰う。確かに、そこでは性行為などは伴わなかった。けれども、続けるうちに、そういうことを求める相手も。また、空手形で体の関係のみを持たれて……なんていうことも。そんな中、身元の確かな相手を紹介するブローカー女性と出会い、彼女に紹介される相手と合うようになって……
1990年代くらいから言われていた「援助交際」。それとは違う、と言う風には言っている。けれども、やっぱり、そのいかがわしさ、というのは同じ。それは、恋人などには言えない、なんていうのも。ただ、その一方で、生活苦などから始まっているため、「良い援助者」を巡っての争いも。同じようにパパ活をしている友達との、仲間意識と対立。そんなものも次々と発生してくる。そんな状況が綴られていく。一方で、令和2年を舞台とした数年後の事件。被害者が誰なのか、それが判明したのちにも、何がどうしてそんな犯罪に繋がってしまったのか? という部分で興味をひかれた。テンポも良いし、どんどん読み進めることが出来たのは確か。
ただ……その犯人とかは……結局、それ、何なの? と言う感じになってしまった。
パパ活、である必要もなければ、なぜ彼女なのか? というようなところも弱い。何よりも、そのトリック、ちょっと捜査権のある人間なら簡単にバレるんじゃないか? という気が(新型コロナウィルスの影響で、捜査にも影響が、とは言え) ちょっと腑に落ちない結末だった、というのもぬぐえなかった。

No.5765

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0