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復讐の協奏曲

著者:中山七里



「元殺人者の御子柴礼二に正義の鉄槌を」 ブログでの呼びかけをきっかけに届けられる数百通に渡る懲戒請求。明らかな違法な呼びかけに、御子柴は、懲戒請求者に対し、名誉棄損の訴えを起こすことに。そんな中、その処理を担当していた事務員・日下部洋子が、殺人容疑で逮捕されてしまい……
御子柴礼二シリーズ第5作で、2020年12か月連続刊行作品の1つ。
物語としては、逮捕されてしまった事務員・日下部洋子を助けるために御子柴が奮闘する、と言う部分が中心。
殺害されたのは、事件の直前、洋子と食事をしていた男性・知原。洋子は犯行を否定するものの、凶器であるナイフには洋子の指紋が付いており、それが決め手に。警察は知原との痴情のもつれによる、とするがそんな関係すら洋子は否定。さらに、ナイフも自分のものではない、というのだが……
そんなところからの調査。被害者である知原は、複数の女性と交流を持っており、しかも、その女性関係には黒い噂も。その知原に利用されるだけ利用されて、捨てられた女性が犯人なのか? しかし、知原はどうやって、それだけの女性と知り合ったのか? 調べていくうちに、知原と女性を仲介する一人の女の存在が明らかになっていく……。そして、御子柴を襲撃する者まで現れて……
一方で御子柴が思うのは、なぜ、洋子は、自分の元で働いているのか? かつて、凶悪少年事件の犯人として逮捕された過去を持つ御子柴。そのことは、メディアなどで取り上げられ、当然、世間からの白い目もあった。そんなところに応募してきた洋子。しかも、前の勤め先をある日、突然に退職をして、という不可解な形での転職だった。そんなところから、洋子の過去を調べ始める中で見つかった、過去の御子柴との接点。洋子の抱えていたハンデ。洋子は敵なのか、味方なのか?
これまでのシリーズでも事務員として、御子柴の手足となって活躍してきたが、しかし、スポットが当たっていたとは言い難い日下部洋子というキャラクターの掘り下げ、と言う意味で面白く読むことが出来た。
ただ、そういう掘り下げが面白い一方で、気づけば頁数も残りわずか。そこから、どうやって話をまとめるのかな? と思ったら……
洋子の指紋がついていたナイフのトリック。女性と知原を繋いでいた女の正体。そして、襲撃犯。これら、それぞれ、凄く雑な気がする。特に、襲撃者の正体を特定する決め手が……それですか? ナイフにしても、そのナイフは、元々、殺傷能力とかなさそうだし、それを使えるようにするには……という気がしてならない。
日下部洋子の掘り下げ。その中での、御子柴の心境。そういうところは面白かっただけに、事件の方のまとめ方が弱い、と言うのが残念だった。

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