FC2ブログ

吾輩は歌って踊れる猫である

著者:芹沢政信



バイトから帰ると、ベッドにいたのは使い古しのモップ……ではなく、猫。「呪われてしまったの」そう喋る猫の正体は、幼馴染であり、ミュージシャンとして活躍中に失踪したモニカだった。化け物の禁忌に触れてしまった、というモニカを元に戻すためには、モノノ怪たちの祭用の局を完成させることで……
結構、ドタバタ。けれども、その中に成長だったりとか、そういうものがしっかりと詰められた作品だな、というのを感じる。
粗筋では書かなかったのだけど、主人公のぼくは、何かに打ち込んでも上手くいかず、半ば、自分の人生を諦めている存在。そんな諦めの理由こそ、目の前に猫の姿で現れたモニカ。劣等感を刺激される相手ではあるが、しかし、モニカを元に戻すために奮闘することに。
とにかく、モニカの存在が色々と凄い。
何はともあれ、主人公を振り回す、振り回す。そもそもが、絶対に口外するな、という化け物の動画をネットに置いたことだし、元に戻りたい、と言いながらもやる気をなくしたり、曲作りから逃げ出したり、缶詰のエサを要求したり……。ある意味では、気ままな猫と言った感じ(まぁ、実際に猫を飼っていた身としては、結構、規則正しい生活しているけど、とは言っておく) そんなモニカと、喧嘩をしたり、励ましたり……。主人公が生真面目なだけに、余計にその振り回され方が印象に残る。
そして、そんな状況に陥った原因であるモノノ怪たち。モノノ怪が、っていう時点でファンタジー要素は多いのだけど、それぞれ、おどろおどろしい、といよりもユーモラスな存在で、モニカと合わせて余計に振り回す存在的な印象が強いかな? 主人公、大変だなぁ……
と、振り回される話ではあるのだけど、ただ、その中でモニカにはモニカの、そして、モノノ怪たちにはモノノ怪たちの事情があり、それを知っていく、という主人公の成長譚としての部分もしっかりとある。自由気ままに見えて、しかし、家族などの反対などを押し切ってのミュージシャンとしてのデビュー。モニカに呪いをかけたモノノ怪もまた、報われない日々を過ごしている。それまで、劣等感の塊だった主人公が、そういう想いを知って……
前作同様、結構、無茶苦茶な部分はある。けれども、その中で、それぞれに苦労、悩みがあり、それを通した主人公の成長と言うのが印象的だった。

No.5768

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



COMMENT 0