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物件探偵

著者:乾くるみ



不動産を購入した人々に起こる奇妙な出来事。その状況に首をひねっていると、彼らの前に、現れる不動尊子という女性は、その謎をアッサリと改名して見せて……
という連作短編集。全6編を収録。
著者の作品を読むのは8年ぶり。著者に関しては、良くも悪くも「クセモノ」という印象を持っているのだけど、本作の場合、そういう意味では正統派、なのかな? ヘンテコな設定とか、そういうものがあるわけではないわけだし。
物語のパターンとしては、各編同じ。各編の主人公が、不動産を購入したりすると、そこで奇妙な出来事が。それは多くが、不利益を被るような、そういうもの。一体何が? そんなところへ不動尊子が現れて、その謎を解いて見せる、という形。奇妙な出来事はあるのだけど、ホラーとか、ファンタジー方面にはいかず、という辺りも共通している。
ただ、正直なところ、ちょっと読みづらい、というか、理解しづらい部分はある。というのは、ある程度は噛み砕いて説明はしているものの、それでも、専門用語とかが多く、前提となる基礎知識などがないと、すんなりとは頭に入ってきづらい。また、その謎解き自体も、その専門知識などを利用しての犯罪だったりするので、そうなのか、とは思っても、何かモヤモヤするところが残る。
と、なんかネガティヴな話になってしまったのだけど、作中の話でお気に入りなのは、4編目の「北千住3Kアパートの謎」。
北千住でアパートを経営するタツ子。再開発や大学の移転もあり、ニーズが増えていることもあるし、空き部屋の家賃を上げてみては? という提案を受ける。どうすべきか迷うタツ子だが、なぜか次々と住人が出ていってしまい……。アパートから住人が出ていく。ただし、その住人は、例えば結婚であったり、はたまた、引っ越しする、ということであったりと円満なもの。たまたま、そういう状況が続いているだけ、とも取れるのだが、ある店子がタツ子に情報を提供する。
家賃の設定と、その中で発生する不動産会社の手数料収入。その辺りの駆け引き。その上で、不動産会社の善意。そういうものが入り乱れて起きた事件というのは、大家とかであると考えてしまう部分があるんだろう。ただ、色々なものが解明されたときに、ちょっと前向きになる結末だったので読後感が良く、ほっとすることが出来た。

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