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比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども

著者:藤崎翔



短編6編と、掌編6編を収録した短編集。
何と言うか……一応、各編、ひっくり返しとか、そういうものは用意されている。されているのだけど、ミステリー小説というよりもギャグ小説みたいなエピソードが多かったように思う。
1編目『日本今ばなし 金の斧 銀の斧』。現代日本の池で過ごす池の精。池に斧を落としたものが現れると、「あなたが落としたのは、金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」というやるのが仕事。しかし、そもそも斧で木を切る、という存在が減ってしまった。そんなある日、一人の老人が斧を落とすのだが……。
作中で主人公である神が言うように、現代日本では林業はすたれてしまっている。そして、落とした人も認知症では? という老人。だからこそ、「金の斧を落とした」というものを強欲だから、とは言えずに苦悩する。さらに、そんなこんなをやっていると若者が現れて、おかしな人扱いをされ始めて……。最後に実は、というひっくり返しはあるんだけど、それを含めてシニカルなギャグ作品と言う印象が残った。
『伝説のピッチャー』は、もう、これは完全にギャグ小説という印象。闇カジノで借金を重ねてしまったプロ野球投手・滝田。借金を返すために提案されたのは、八百長で負けろ! という指令。自らの命を守るため、それを承諾する滝田だったが……。野球って、ある意味、そんなものだよね。打たれよう、とど真ん中に投げたらなぜか勝手に相手が打ち損じる。相手にぶつけようと思ったけど、なぜか絶妙なところに球が行ってしまう。プロ野球選手としては、結果を出しているのだけど、借金と言う意味ではどんどん追い詰められてしまう滝田。その挙句に……
画期的な技術とかを送り出した人間って、後に色々とエピソードとして語られる。でも、それは……と言う部分では考えさせられるのだけど、基本的にはギャグそのものなんだよな……。
大学のゼミで、政治をよくするためには……と語り合っていた学生たち。それから数年、「悪魔」を名乗り、顔にはメイクを施した「悪魔党」が出馬する。見た目のインパクトだけの泡沫候補と言われていたのだが、いざ、政策などは真面目そのもの。他の政党が選挙対策として決して口にしない増税も言いつつ、「高負担、高福祉」を掲げ、台風の目となっていく。そして、その末……。
オチが酷いな、おい! いや、確かに、最初から目的とかを言っていた! というのは事実なんだけど、そりゃ、みんな、そうは思わないよね。それまでの、キャンペーンのためにヘンテコなことをやっているけど、根は真面目な人たち、みたいなところからの急展開だし。ただ、楽しいのは確か。
で、ここまで書き上げて、ネット書店の作品紹介を見たら「読むコント」とあった。
……あ、なるほど……

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