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コンサバター 幻の《ひまわり》は誰のもの

著者:一色さゆり



大英博物館を辞め、自らの工房を持つことになったスギモトと、その助手となった晴香。そんなスギモトの工房に持ち込まれたのは、行方不明になっていたゴッホの11枚目の『ひまわり』。早速、その真贋の鑑定、そして、修復に取り掛かることにするのだが、その矢先、その『ひまわり』が消えてしまう。そのころ、オランダのハーグで、フェルメールの知られざる「真作」を示す文章が見つかって……
シリーズ第2作。
前作は短編集という形だったけれども、第2弾である本作は長編作品となっている。
冒頭で書いた、スギモトが修復することとなったゴッホの『ひまわり』。さらに続いて、フェルメールの作品。そもそも、完璧な警備体制が敷かれていたはずの場所から、どうやって『ひまわり』が盗まれたのか? 当然、スギモトに対しても嫌疑が掛かり、苦境に立たされる。そんな中、フェルメールの真作も盗まれてしまい、その犯人グループからの要求が……
それは、その盗まれた作品と、ヒースロー空港で押収された数々の美術品との交換。その背景にあるのは……
前作のエピソードにもあった、大英帝国。イギリスが世界各地を植民地にし、その各地の美術品を収集した。その結果、ある意味で、世界の美術品が集う都市となったロンドン。故に、その玄関口であるヒースロー空港は、世界で最も違法な美術品の輸入・輸出の現場となっている。そして、押収された美術品が溜まる場、とも。しかも、その美術品を返還する、という建前はありつつ、実際にはそれが出来ていない状況。そんなところでの事件。
その一方での、その美術品を奪われる側の立場。美術品などというのは、その文化の象徴ともいえるもの。それを奪われる、ということは、そこに関するアイデンティティを奪われる、ということでもある。そして、その背景にある民族意識、宗教……
正直なところ、犯人は誰なのか? という部分については、なんか、唐突感がある。そのため、謎解き、というところではかなり肩透かしな印象は残る。
ただ、組織に属していたのではできない美術品の護り方。そんなスギモトの想い、というのは伝わってくる終わり方ではあったかな?

No.5778

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