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ひとでちゃんに殺される

著者:片岡翔



宙を舞うスキー板が、地下鉄の鉄扉が、墜落する信号機が……。次々と不可解な形で死んでいくクラスの生徒たち。そんなクラスに一人の転校生が。「縦島ひとで。16歳です!」 美しい容姿と、しかし、闇をまとったような彼女の正体は? そして、その怪死事件の背景にあるものは?
なんか、裏表紙の粗筋、かなり終盤までのネタバレになっている気がするのだけど……ということで、ちょっとネタバレも含んでの感想になります。
物語は、怪死事件が起こるクラスの生徒である鷹守と、佐藤水色という二人の生徒が主役となって展開する。
前半は、鷹守視点での物語。神社の息子であり、その事件で怪死した生徒たちに暗い感情を抱いている存在。そして、早い段階で明らかになるのだけど、その怪死事件の原因を作り出した存在。殺してほしい、という相手の名を掘った石を古井戸に投げ込むことで、その相手が呪い殺される。そんな呪いを実行した張本人。そして、それは幼馴染の少女・葵を救うため。だが、そんなところに現れた転校生のひとで。彼女こそ、呪いを実行する人物に思え、そして……
そんな鷹守と、やはり幼馴染である水色。小さいころから、呪いなどが「視える」体質であり、それ故に孤立している彼であるが、鷹守は数少ない水色と話などをする友人。そして、そんな鷹守が呪いの実行犯であることを知る。当初は、鷹守同様、ひとでに対しても警戒感を抱いていたが、彼女と話をする中でひとでに惹かれていく。
ひとでは、呪いの実体化したものなのか? それとも? 何か、隠していることがあるのは事実。しかし、前半の鷹守視点での物語では、まさに、そんな魔性の存在。しかし、後半、水色視点で描かれるひとでは、不可解なところはありつつも、年相応の少女と言う印象も。それは、鷹守が言うように騙されているのか? そんな中で明らかになるひとでの正体。それは、むしろ、呪いを祓う側の存在……
そういう意味で、ひとでは、悪の存在とは言えない。言えないのだけれども、しかし、呪いを祓う、というのは綺麗ごとだけでは済まない。呪いを放っておけば、大惨事になる。だが、それを祓うためには犠牲を伴うことが必要に。そして、そのために誰を犠牲とするのか、という争いを主導することとなっていく。読者としては、ひとでの、人となりなどを(一部と言えど)理解しているけど、そうでなければ、彼女もまた、闇そのもの。そして、一部を理解していたとしても、それでも闇そのもの。
水色視点で見るから、双方の見方がわかるのだけど、それだけに、どちらの視点で考えるか、っていう部分はあると思う。そこに、呪い、とか、そういうものの本質が出ているのかな? とも。
物語の結末は……ある意味、ブラックジョークみたいな形。ただ、その中での水色の決断は……彼の成長……なのかな?

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