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あくまでも探偵は

著者:如月新一



先輩に絡まれていた優介は、ほとんど話をしたことのない同級生・森巣に助けられる。それがきっかけに、優介は、森巣と行動を共にすることになるのだが、おかしな出来事に巻き込まれることになって……
という連作短編集。全4編を収録。
最初に書くと……「あくまでも探偵は」というタイトル。そして、独自の正義感というか、価値観というかを持っており、その中で時に過激な、極端なことを言い出す森巣は良い奴なのか? という問いかけが冒頭に示される。それだけに……一瞬、某、黒い執事さんかな? という疑問を抱いてしまった。
ともかく、物語は、連作短編形式で動物の殺害事件、奇妙な強盗事件、百万円をくれた男……と事件が起きていく。そして、事件の背景に滑川という男がいるらしい、ということが示されていく。そして、その事件の中で、先に書いた森巣はどういう存在なのか? という部分に焦点が当たっていく。
探偵役、ということもあって森巣は頭脳明晰で、それぞれの事件について真相を看破していく。しかし、その一方で、本来、事件を捜査するはずの警察に対しては強い不信感を抱いており、自らの手で決着を付けようとする。しかも、その発想はかなり厳罰主義的。時に犯罪者に対するために、手を汚すことも厭わない。その根底には一体何があるのか?
物語の主軸としては、その森巣と主人公である優介の関係性。
上に書いたような考え方の森巣。あくまでも、普通の、社会一般の正義感で動く優介。眼前に起きた謎の解明のため、森巣の手を借りることもあるのだが、根本の部分での考え方に同調は出来ない。故に対立をすることも。そして、その末に……
一つ一つの謎解きよりも、その関係性なんだよな。両者が対立し、根本では相いれない、というのはハッキリしている。けれども、自らの手を汚して、ということをしようとする森巣に対して優介が放った言葉。
正義がどうのこうの、悪がどうのこうの。言葉としていうのは簡単。そして、その部分が違うのだからかみ合わない。でも、色々と言っていても、その根本にあるのは一種のエゴである。だとすれば、自分と異なる正義を考える森巣を止めるのもまた優介のエゴ……。すべてが丸く収まったわけとは言えないのだけど、これも一つの解決篇と言えるのだろう。
ミステリというよりも、二人の関係性を描いた青春もの、という印象が強かった。

No.5784

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