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錆喰いビスコ7 瞬火剣・猫の爪

著者:瘤久保慎司



忌浜の街で、次々と人が猫化する奇病が発生。その原因は、黒革との戦いの中で、ビスコとミロが放った超信矢の影響で、異世界との扉が開いてしまったことだった。猫病を止めるべく、異世界への扉をくぐる二人。たどり着いたのは、猫侍が収める国・猫摩國。その将軍・八ッ橋羊羹と共に、猫病の原因である邪仙猫・甘草月餅に挑むことに。だが、月餅の手には超信矢が。しかも、ビスコは猫病の影響で、弓を封じられてしまい……
ビスコたちが暮らす世界では、イエネコが滅びていた……だと!? なんてこったい!!
粗筋は、冒頭に書いた通り。猫病を止めるため、猫が侍となって暮らす国・猫摩國へと赴いたビスコたち。そこで、さっそく、その将軍・羊羹と出会い、諸悪の根源である月餅との戦いをすることになっていって……という、物凄くド直球な展開。
その中で、今回、何よりも面白かったのはそのビスコと共に戦いをすることになった将軍・羊羹のキャラクター。八代将軍、なんていう肩書になっていることからわかるように、時代劇『暴れん坊将軍』を彷彿とさせるような豪放さ、というのを持った人物(猫物?) 基本的に彼は、自分がしたいようにやる、というある意味、ワガママな存在ではある。あるのだけど、そのワガママさ、というのが周囲に好感を持たせ、この人についていきたい、と思わせる魅力へと繋がっている。そして、やっぱり型破りなビスコとも馬が合う。そんな二人が戦う相手である月餅……
月餅は本当、自分の美貌を笠に着て、しかも、その力を誇示して戦うような嫌なキャラクター。猫病で、月餅に従わざるを得なくなったチロルをしても、色々と嫌味を言ったり、ツッコミを入れたり、とか、そんな感じ。けれども、そんな戦いの中で少しずつ描かれていく月餅の過去。そして、羊羹の過去……。過去の出来事の中で生じた二人のすれ違い。その中で、こうするしかなくなっていってしまった状況。その辺りのすれ違い部分とかが切ない。
勿論、この作品らしく、ある意味、何でもありな、しかし、滅茶苦茶パワフルなバトルシーンとかは健在。ビスコの戦いの頭脳担当……のはずのミロが、終盤には「学歴どうした!」と言われるような作戦に出ちゃうとか、その辺りのハチャメチャさとか、お約束なんだけど楽しいし。そういうものを残しつつ、結構、羊羹と月餅。両者のキャラクターの良さで、これまでのエピソードとはまた違った味を出してきたな、という印象を強く持った。
そして、そんな猫摩國での戦いを終えてのビスコ。忌浜の知事として、その職務に全力で当たってきたパウーとの関係。パウーとの結婚生活は、決して悪いわけではない。しかし、自分の生き方とあっているのか? 全力で知事の職務をするパウーだが、十全とは言い難い。しかし、やめるわけにはいかない。読んでいるうちに、ビスコとパウーの関係性というのが、羊羹たちの話に重なるだけに、この結末には納得。やっていることは滅茶苦茶。でも、そんな生活こそが、彼ららしい、と思わせられる引きだった。

No.5804

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Tag:小説感想 電撃文庫 錆喰いビスコ 瘤久保慎司

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