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もう、聞こえない

著者:誉田哲也



「女の人の声が聞こえるんです」 男を殺害したとして逮捕された女性。取り調べのために呼ばれた竹脇に女は、そう呟いた。事件についての事実関係は概ね認めているものの、それは何なのか……。一方、普通の家庭に育った私は、バスケ部に所属する美波と仲良くなるのだが……
おう、こういう方向だったか。
冒頭から察してもらえれば幸いだが、物語は、殺人事件の取り調べを行う刑事・竹脇と、女子高生で、ゆったんと呼ばれる「私」の視点で綴られる。
その中心として綴られるのは、「私」視点の物語。冒頭に書いたように、「私」と美波は親友同士。勉強が得意な「私」と、抜群の運動神経を誇り、バスケ部のエースとして活躍する美波。一般入試と、スポーツ推薦という形で同じ高校に入学し、そこでも友情を育むのだが、いざ、卒業を前にして、美波は挫折してしまう。そして、疎遠になったまま高校を卒業してしまう。ドロップアウトした形の美波。悪い同級生とつるむようになった美波。そして、不可解な死を遂げてしまう。大学生である「私」はその真相を調べようとするのだが……
正直なところ、前半位までは、竹脇視点で綴られる物語との兼ね合いで、「私」が誰なのか? というのを完全に勘違い。でも、その部分がひっくり返ってから……
ある意味では結構なトンデモな展開。まぁ、特殊なシチュエーションの作品と言うことで、それ自体は良いのだけど、謎解きと言うよりも「私」が目的をどう達するのか? という部分へと発展していく。そして、そのパートナーとして見出したのが……。それまでの構図とか、そういうものの意味がひっくり返っていっての展開には唸らされた。
ただ、その一方で逮捕された女性のキャラクターとかがイマイチよくわからなかったな、というところもあったりはする。ある程度、その意図があって、ということなのだろうけど、序盤と最後では全く違う印象になるし、そもそも、それに協力した意図もちょっとわからない。なんか、その辺りにモヤモヤが残ったのも確かだったり。

No.5808

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Tag:小説感想 誉田哲也

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