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月とライカと吸血姫6 月面着陸編・上

著者:牧野圭祐



停滞気味の共和国中開発計画。それを隠蔽したい政府の意思により、ミハイルは事故死してしまった。レフらの行動により、暴かれたその内面。その結果として、進むこととなったのは連合王国と共同での月面着陸計画。ANSAに渡ったレフたちを出迎えたのは、宇宙飛行士たちの厳しい洗礼であった……
いよいよ、シリーズ完結へ……となるか……
物語は、レフ&イリナサイドと、バート&カイエサイドで描かれる。
共同での月面着陸へ向けて作られたステップ。どこか一つでも失敗をすれば、そこで計画は頓挫してしまう、という状況の中で進められていく。無論、レフたちの中には、ミハイルの死の遺恨は残っているし、また、レフらと共に共同計画を進めるゲルギエフ、リュミドラに対する警戒心というのも残っている。しかし、それでも、月へ、という思いが強く後押ししているのも事実。
そして、そんな計画の中で、レフ&イリナは、ANSAへ。バート&カイエは、共和国へ……と、それぞれ敵対する側の施設へ。
レフ&イリナサイドに関しては、比較的平和な印象での日々。敵対する国。しかも、吸血種への意識はどうなのか? そんな思いはあったものの、ANSAは完全なる実力勝負の世界。訓練を主導するネイサンは、厳しいが、しかし、国などを超え、計画の成功に向けての訓練が進んでいく。レフ、イリナ、それぞれに与えられた役割。これまでとは全く違ったシステムなどに苦労をしながらも、その特訓は続いていく。
一方のバートとカイエは、秘密主義の共和国へ。見た目は綺麗ながら、急ごしらえで故障だらけの宿泊施設。常に、監視される日々。目隠しをされての移動。そして、何よりも決定過程が遅すぎる。そんな不満を覚えつつも進めるシステム開発。その中で、ANSAでの事件から秘密裏にプログラムを導入することにするが……
共和国、王国。双方の国の在り方の違い。特に、バートらのパートでは、共和国の秘密主義とか、恐ろしさなんていうのも感じつつ、しかし、その中で絆を確かにした二人。一方のレフは、イリナに対する想いはある。しかし、種族の違い。特にイリナの、人間に対する率直な物言いなども目の当たりにしている。結婚などのことを考えつつ、イリナはどう思っているのかわからない。そんな悶々した部分も。
物語の最後に、共和国側での変事というのも描かれつつ、二組の関係性もいよいよ煮詰まってきて、次巻、どうまとめられていくのか非常に楽しみ。

No.5819

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