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透明カメレオン

著者:道尾秀介



冴えない容姿と魅力的な声を持つラジオパーソナリティの恭太郎。バー・ifに通い、そこの常連から聞いた話を面白おかしく作り変えてラジオで紹介する日々。ある大雨の夜、そのifに一人の女性が迷い込む。そして、バーの常連たちは、なぜかその女性の殺人計画に手を貸すことになって……
著者の作品を読むのが7年ぶりだったことに驚いた。
以前に、著者の作品を読んでいた時は、結構、どんよりとした、暗い描写の印象が強かったのだけど、本作は、殺人計画を進める、という話とは裏腹に、何かコメディちっく。何しろ、物語の冒頭、殺人計画に手を貸すきっかけからして変わっているから。
バーに現れた女性・恵。ラジオDJである恭太郎のファンだというのだが、しかし、恭太郎は自らの容姿に自信がない。だから、バーの人間に身代わりを頼むことに。しかし、それがバレて……というよりも、最初からバレていて、半ば逆ギレされた形で手伝わされることに。この時点で、色々とツッコミどころが多いでしょ?
さらに、その殺人計画。強面の常連に、ヤクザのような格好をさせて相手を追いまわしてみたり、はたまた、パチンコで相手の首筋に球を当てる練習をさせられたり……と、どうにもヘンテコな殺人計画。しかも、その間に恵は、自分の暮らす家に恵が転がり込んできてみたり……。色々とツッコミのある行動。しかし、恵の言う理由などから、気のすむように、と手伝う中で恭太郎は恵に惹かれていく。しかも、同時に恵について思うところも。そんな中でいよいよ作戦は、最終段階へ……
一つのひっくり返しがあり、その中で、ただただドタバタとした復讐劇。実際に参加している恭太郎たちは、緊張感がとんでもないのだろうけど、読んでいる側には、そう見えて仕方がないアレコレ。そして、そんな危機を、恭太郎、ラジオ局の協力もあって解決したと思いきや……
読み終わって考えてみれば、確かに、変なところは沢山ある。けれども、恵の主導する殺人計画の方に目を奪われて、どうしてもそちらを忘れがちになっていたところでの、というのが上手い。久しぶりに読んだけど、こういう伏線の置き方こそ著者の最も得意とするところだったよな、と言うのを思い出した。
最後に分かる真実はちょっと悲しい部分はある。けれども、それを乗り越えることができるだけのものを、恭太郎はすでに手にしている、ということなのだろう。読後感も良かった。

No.5820

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Tag:小説感想道尾秀介

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