著者:青崎有吾

ダイヤの導きに従い、ドイツへと向かった鴉夜らがたどり着いたのは、人狼が少女をさらう、という事件が起きている村。崖下には、人狼の村がある、という伝説がある村で、村人は少女を攫った人狼は誰なのかを探し始めるのだが……
実に4年ぶりに刊行されたシリーズ最新作。キャラクターとか、大体こんな感じ、っていうのは覚えていたけど、キャラクター名とかはすっかりあやふやになっていた。
で、物語には、人外の存在のグループである夜宴。人外の存在を狩るロイズ。これらも関わってのバトルとか、そういうものもある。あるのだけど、物語の中心は、人狼によって攫われた、とされる少女を巡って、村人の中に紛れ込んでいる人狼は誰なのか? そして、どうやって誘拐をしたのか? という謎。その中で浮かび上がる「人狼」候補たち……。やがて、その人狼の正体が明らかになるが、その戦いの最中、鴉夜のメイド・静句が崖下へと落ちてしまう。そして、その崖下、人狼の村で静句が知ったのは、こちらでも、少女が失踪し、殺される、という事件が起こっている、ということ……
人間と人狼、敵対する双方の村で起こっている相似形の事件。なぜ、そのようなことが起こっているのか? そして、その背景にある人狼、人間、それぞれの村が抱えている問題。
人間の村で行方不明になった少女は、かつて村に紛れ込んだ人狼を告発したことで、村の英雄的な立ち位置を手に入れた。しかし、ではそれまでは? というと……。障害を持ち、仕事などは出来ない存在。村において、文字通りの「お荷物」的存在。そんな彼女が考えたのは……。一方の、人狼の村。村長の指導により、種族の生き残りを何よりも優先に考えている。そんな村では、女は13歳になると「巫女」という存在になる。その「巫女」の役割とは……
二つの村にまたがって起こる相似形の事件の真相は、という本格ミステリとしての味わい。そして、まだ文化が現在のように発達しておらず、それぞれに抱えた事情がある時代背景とその中での因習という民俗学的雰囲気とファンタジー要素。その双方がしっかりとかみ合わさっての物語。470頁超と、過去のシリーズでも最長の分量があるけど、それだけの分量にふさわしい内容だった。面白かった。
No.5832

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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ダイヤの導きに従い、ドイツへと向かった鴉夜らがたどり着いたのは、人狼が少女をさらう、という事件が起きている村。崖下には、人狼の村がある、という伝説がある村で、村人は少女を攫った人狼は誰なのかを探し始めるのだが……
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で、物語には、人外の存在のグループである夜宴。人外の存在を狩るロイズ。これらも関わってのバトルとか、そういうものもある。あるのだけど、物語の中心は、人狼によって攫われた、とされる少女を巡って、村人の中に紛れ込んでいる人狼は誰なのか? そして、どうやって誘拐をしたのか? という謎。その中で浮かび上がる「人狼」候補たち……。やがて、その人狼の正体が明らかになるが、その戦いの最中、鴉夜のメイド・静句が崖下へと落ちてしまう。そして、その崖下、人狼の村で静句が知ったのは、こちらでも、少女が失踪し、殺される、という事件が起こっている、ということ……
人間と人狼、敵対する双方の村で起こっている相似形の事件。なぜ、そのようなことが起こっているのか? そして、その背景にある人狼、人間、それぞれの村が抱えている問題。
人間の村で行方不明になった少女は、かつて村に紛れ込んだ人狼を告発したことで、村の英雄的な立ち位置を手に入れた。しかし、ではそれまでは? というと……。障害を持ち、仕事などは出来ない存在。村において、文字通りの「お荷物」的存在。そんな彼女が考えたのは……。一方の、人狼の村。村長の指導により、種族の生き残りを何よりも優先に考えている。そんな村では、女は13歳になると「巫女」という存在になる。その「巫女」の役割とは……
二つの村にまたがって起こる相似形の事件の真相は、という本格ミステリとしての味わい。そして、まだ文化が現在のように発達しておらず、それぞれに抱えた事情がある時代背景とその中での因習という民俗学的雰囲気とファンタジー要素。その双方がしっかりとかみ合わさっての物語。470頁超と、過去のシリーズでも最長の分量があるけど、それだけの分量にふさわしい内容だった。面白かった。
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