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依存

著者:文縞絵斗



シングルマザーとして息子を育ててきた香奈枝。そんな彼女は、友人の紹介で知り合った恭一に惹かれ、彼の子供を宿したことから結婚することに。高校生の息子・真斗と恭一は、ややぎこちないところがあるが、これからは親子四人で……。そう思った矢先、恭一が刺殺されてしまう。「知らない男に刺された」 恭一はそう残したが、WEB上の犯行声明らしき文言から犯人は真斗ではないかと考え……
第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
表紙、そして、粗筋を見ると、主人公は夫を喪った香奈枝のように見えるのだけど、全4章構成で1章の主人公が香奈枝。第2章以降は、事件を捜査する刑事。事件の取材をする雑誌記者……と視点が変化しながら物語が展開していく。
で、粗筋にも書いた香奈枝視点の第1章。そこでも書いた通り、元々、あまり親密と言えなかった真斗と恭一。ただ、高校生である真斗と、いきなり父だ、という恭一だからぎこちないのも当たり前。一応、祝福はしてくれているし……と思っていたらの事件。しかも、犯行声明らしきものが、息子の日記に書かれていたものと一致している上に、息子の部屋から血の付いた包丁が……。真斗を守るため、香奈枝は自分が身代わりになることを決意する。
そして、第2章では、事件を捜査する刑事視点。警察に出頭してきた香奈枝。凶器を持参したことなどから逮捕はするが、取り調べでは黙秘を続ける。上層部は、これで幕引きを図るが、現場の立場としては何か納得ができない……。さらに、そんな中で雑誌記者は編集部に送られてきた手紙から、真犯人が別にいる、と考え、取材をする。そして、事件の目撃者を発見するが、目撃者は女ではなかった、と断言し……
元々が、香奈枝が「息子が犯人では?」と考えたところからの掛け違い。でも、真犯人とすれば、赤の他人が犯人として逮捕されたなら、万々歳なはず。なのに、なぜ犯人は香奈枝ではない、というアピールをするのか? その中で、上層部の思惑に翻弄される刑事、一山当てたい、という思惑に走りつつ……という記者の葛藤。多少、思考が極端に走りすぎている気がしないではないが、それぞれの思惑と、それがあるが故に逆に翻弄されていく様は素直に面白かった。
その上での真相。ある意味で事件を混迷させていた存在が明らかになり、その上で……。一応、それぞれについての言及もある。あるのだけど、もうちょっとこの辺りの掘り下げがあっても良かったかな? という思いもを抱いた。

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Tag:小説感想福ミス文縞絵斗

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