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楽園ノイズ2

著者:杉井光



バンドとして本格始動したパラダイス・ノイズ・オーケストラ。しかし、2学期になっても周辺ではトラブルばかり。クラシックしか認めない凛子の母が乗り込んできたり、詩月の祖父が僕を拉致したり……
1巻で完結だと思っていただけに、2巻が出たことにまず驚き。
で、学校生活の中、色々な問題を抱えた面々が出会って……と言う形で結成されたバンドのその後。読みながら、前巻のエピソードとかを色々と思い出しながら、という感じだったのだけど、本人の居場所はとりあえず確保、と言う形であったのだけど、根本的な解決だとかはされていない。その状況を、より、掘り下げた、という感じになるのかな?
それが、例えば凛子に関するエピソード。幼いころから、コンクール荒らしとして、各地のコンサートを総なめにしてきた凛子。しかし、その心は……。それが1巻の段階。それが、真琴らとの出会いによって……となるわけだけど、ピアノを弾くことが出来るようになった。……となると、今度は問題が再燃。音楽はクラシックしか認めない、という母親。しかし、凛子にとってはバンドの方が……。その中での対立。
一方で、華道の家元に生まれた詩月。女癖が悪く、しかも、「家」そのものを巡っての争いなどがある中、詩月が避難場所にしていた祖父の家。そんな祖父だからこそ、真琴のことが気にかかる。そして、なぜか始まったセッション……
今回のエピソードもまた、作中ですっきりと解決した、というわけではないのが生々しい。ある意味で、親は親で子のことを、ということになるのだろうけど、それがはたして本人にとっては……。だからこそ、の苦しさ。そして、それを解決するためには……。ビターな感じではあるのだけど、でも、それが現実手、というのもまた事実なんだよな。
そして、そんな中、音楽プロデューサーとの邂逅。そこで言われた「真琴は外れるべし」の言葉。
演奏の技術とか、そういうもので……という事実は真琴自身わかる。自分が外れれば……。しかし、バンドは、それぞれが手を取り合うことで成立し、成り立っている。ある意味では、彼こそが要。そんな思いをぶつける演奏で……
バンドとして、そして、デビューへ向けて……という部分での着実なステップアップ。それと同時に、現実、というビターさ。その双方が印象に残った。

No.5851

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Tag:小説感想電撃文庫杉井光

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