著者:佐藤青南

人事異動により、後輩が出来た本田木乃美。しかし、その後輩・鈴木は、ライディングテクニックこそすべて、という考えもあり、どうにも木乃美に対して反抗的。そんな中、ネットでは公道を猛スピードでかける「最高速アタック」動画が話題になっていた。その投稿者を探る神奈川県警だったが、奇妙な交通事故が発生して……
シリーズ第4作。
今回は、結構、キャラクター描写と言うか、登場人物の掘り下げを中心に描いてきた、という印象かな?
物語の発端は、冒頭にも書いたネット上に挙がっている最高速アタックの動画。最初は当然、そのバイクを走らせているライダーが……と思われたものの、投稿者はバイクには全く乗らない人物で、あくまでもネット上で拾ったものだと主張。そんな中、木乃美が捕まえたのは、元暴走族の沢野という男。動きに奇妙な部分があったものの、飲酒運転などの数々の違反で免許取り消し。そんな中、その沢野の乗り方が、動画のライダーのそれに似ていることに気付くが、沢野は行方不明に。さらに、交通死亡事故が発生し、近くに破損した沢野のバイクが……と展開していく。
物語の中心となる沢野。元暴走族で、暴走族を抜けた後も、仕事が続かず職を転々。妻子は実家へ戻り、離婚を求めているが沢野自身はそれに応じない。そんな困った奴で、しかも、地道に働いて、というよりは、一山当てたい、という人物だが、基本的に思慮が足りず、投資話などに騙されて金銭を喪う一方……。バイクに乗っているのは確かだが、動画にあったような様々なバイクを持てるような金銭的な余裕はないはず。さらに、状況的にも不可解な交通事故で、現場近くにバイクを乗り捨てて逃亡した理由は……
物語の中心となる、というだけあって様々な情報が集まり、だからこそ、沢野が犯人なのか? というと疑問に思えてくる。中心を絞ったからこその物語の展開であると感じる。そして、疑問と言えば、沢野はなぜ、暴走族から抜けることになったのか、という点……。結構、シンプルな謎だとは思うのだけど、このシリーズに共通するテンポの良さなどもあってどんどんと読み進めることが出来るのは流石。
その一方で、キャラクターと言えば、この巻から登場する新人・鈴木の存在。こちらも、冒頭に書いたように、ライディングテクニックが何より、という性格で、周囲の危険などを考えて追走をやめたりする木乃美を批判したりする。さらに、暴走族などに人権はない、レベルの発言まで。自分の過去を見ているような気分になる潤は苛立つが……。しかし、交通教室での子供の扱いが上手かったり、沢野の子供に感情移入をしてみたり……。まぁ、そういうキャラクターであるのは良いんだけど……その背景とかがサッパリわからないんだよな。結構、鈴木のふるまいに対する描写がある割に、その辺りがイマイチ掘り下げられていないというか……。そのまま、で終わるならともかく、ラストシーンで木乃美らを見直しているし……
次巻以降で掘り下げられるのかも知れないけど、ちょっと鈴木の扱いについては消化不良感を覚えた。
No.5855

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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人事異動により、後輩が出来た本田木乃美。しかし、その後輩・鈴木は、ライディングテクニックこそすべて、という考えもあり、どうにも木乃美に対して反抗的。そんな中、ネットでは公道を猛スピードでかける「最高速アタック」動画が話題になっていた。その投稿者を探る神奈川県警だったが、奇妙な交通事故が発生して……
シリーズ第4作。
今回は、結構、キャラクター描写と言うか、登場人物の掘り下げを中心に描いてきた、という印象かな?
物語の発端は、冒頭にも書いたネット上に挙がっている最高速アタックの動画。最初は当然、そのバイクを走らせているライダーが……と思われたものの、投稿者はバイクには全く乗らない人物で、あくまでもネット上で拾ったものだと主張。そんな中、木乃美が捕まえたのは、元暴走族の沢野という男。動きに奇妙な部分があったものの、飲酒運転などの数々の違反で免許取り消し。そんな中、その沢野の乗り方が、動画のライダーのそれに似ていることに気付くが、沢野は行方不明に。さらに、交通死亡事故が発生し、近くに破損した沢野のバイクが……と展開していく。
物語の中心となる沢野。元暴走族で、暴走族を抜けた後も、仕事が続かず職を転々。妻子は実家へ戻り、離婚を求めているが沢野自身はそれに応じない。そんな困った奴で、しかも、地道に働いて、というよりは、一山当てたい、という人物だが、基本的に思慮が足りず、投資話などに騙されて金銭を喪う一方……。バイクに乗っているのは確かだが、動画にあったような様々なバイクを持てるような金銭的な余裕はないはず。さらに、状況的にも不可解な交通事故で、現場近くにバイクを乗り捨てて逃亡した理由は……
物語の中心となる、というだけあって様々な情報が集まり、だからこそ、沢野が犯人なのか? というと疑問に思えてくる。中心を絞ったからこその物語の展開であると感じる。そして、疑問と言えば、沢野はなぜ、暴走族から抜けることになったのか、という点……。結構、シンプルな謎だとは思うのだけど、このシリーズに共通するテンポの良さなどもあってどんどんと読み進めることが出来るのは流石。
その一方で、キャラクターと言えば、この巻から登場する新人・鈴木の存在。こちらも、冒頭に書いたように、ライディングテクニックが何より、という性格で、周囲の危険などを考えて追走をやめたりする木乃美を批判したりする。さらに、暴走族などに人権はない、レベルの発言まで。自分の過去を見ているような気分になる潤は苛立つが……。しかし、交通教室での子供の扱いが上手かったり、沢野の子供に感情移入をしてみたり……。まぁ、そういうキャラクターであるのは良いんだけど……その背景とかがサッパリわからないんだよな。結構、鈴木のふるまいに対する描写がある割に、その辺りがイマイチ掘り下げられていないというか……。そのまま、で終わるならともかく、ラストシーンで木乃美らを見直しているし……
次巻以降で掘り下げられるのかも知れないけど、ちょっと鈴木の扱いについては消化不良感を覚えた。
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