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ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

著者:東野圭吾



婚約中の真世の元に届いたのは、父が何者かに殺された、という一報。久しぶりに帰る故郷の町。特に、これと言った特徴がなく、新型コロナウィルスの影響で経済的にも疲弊した町で父の身に何が起きたのか? 十数年ぶりに再会した元手品師の叔父・武史と共に独自に事件を調べることになって……
なんか、懐かしいテイストだなぁ、と言う感じ。
何が懐かしいテイストなのか、というと、作品の形式。殺人事件が発生。勿論、警察も捜査をしているが、そんな警察を頼らず、というか、警察よりも優れた能力を持った主人公サイドも独自に調査を開始。聞き込みであるとかを繰り返し、警察に先んじて犯人に……。何らかの専門家が、その専門知識を元に、という作品は多いけど、そういうわけでもなく……というのは久々に読んだように思う(元手品師の武史が、その技術である種、盗撮したりとか、そういうのはあるにせよ)
で、そんな物語。殺された元教師の父。真世自身も教え子であり、同級生には今なお慕われており、定年後も教え子から相談を受けていたりという日々。定年後は、スーツなどを着ることもなくなったが、なぜか殺されたときはスーツを着ていた。どうやら、東京のホテルにいたらしいのだが、一体誰と会っていたのか? また、間もなく行われる予定だった同窓会では、何かサプライズを用意しているとも……。そんな父の死の直前の行動の謎。
その一方で、タイトルにもある「名もなき町」の現状。元々、これと言った特徴のない田舎町。粗筋でも書いたけれども、新型コロナウィルスが猛威を振るい、緊急事態宣言が出たり、消えたり……の繰り返し。観光の目玉がない、とは言え、旅館や飲食店の頼りは観光客。そんな職業の人々は苦しい……から諦めというような状態。そして、町出身の、真世の同級生が描いた大ヒットコミックを観光の目玉に! という計画も頓挫していて……という状況。この辺りのアレコレは、本当に、「これ!」という目玉がない田舎町の現状を表しているというか……。観光の目玉に、という漫画の聖地云々も……うん……(実家のある町でも、そんなのあったなぁ……) しかも、その漫画作品を巡っても、コネとか、人間関係とか、そういうのが出て、なんて辺りは、いかにも田舎町らしい印象。現在、その漫画家のマネージャー的な存在が、ひとつ、ネックになっているように書かれているけど、現在の漫画……というか、アニメ制作の状況とかを考えると、ある意味、当然のふるまいではあるんだよね。
そんな状況の中、真世と叔父の武史は、同級生来の話を聞き、時には警察の情報を盗んで、一つ一つ謎を解明していくわけだけど……。サプライズ、凄いトリックというよりも、こんがらがった糸を上手くほぐした、と言う感じのまとめなのかな? 結構、こじんまりとした謎が、それぞれこんがらがって、という形でのまとめになっているように感じた。しっかりとまとめられた作品なのは間違いないけれども。

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Tag:小説感想東野圭吾

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