著者:小田一文

「ずっと、あなたを探していました、世界を救うために」 全く売れない同人作家の大学生である俺。その前に現れた女子高生のヒメは、俺の同人誌が売れることによって魔王の復活を阻止できるのだという。けれども、同人活動2年で売れたのはわずか6部。ヒメの協力の元、新刊創作に取り組むことになるのだが……
第12回GA文庫大賞・金賞受賞作。
世界が滅びるのを防ぐには、同人誌を100部頒布しなければならない! ……よくよく考えるとすげぇ設定だなぁ……
物語は冒頭に書いたような形で始まるのだけど、魔王が復活して世界が滅びる云々、っていう設定はあるのだけど、物語的には同人誌頒布に関するアレコレという部分が強い印象。自分自身、同人誌作りとかをやっている人間なので(ジャンルは全く別だけど)、その中でのアレコレというのは、色々と「そうだよな」と思うところアリ。
主人公は、これまた冒頭で書いたように、同人活動を始めたは良いが、頒布できた数は累計で僅か6部。ある意味で、嫌味ったらしくやってくる悪友的な存在であるメイドちゃんが買う程度。そんな主人公に対して、100部を頒布せよ! 勿論、主人公は半信半疑ではあるが、ヒメの献身的な協力などもあり、新作創作に取り組む。勿論、その中で、作品のコンセプトに対しての対立があったり、とか、そういうこともありながら……
同人誌は、「自分の好きなもの、愛しているものを表現するんだ!」という主人公と、しかし、「売れる」ことが優先と言うヒメ。その辺りの対立って、どうしたってあるよね。そもそもが、何を題材にするのか、とか、そういうのも含めて。これ、悪い方に進むと、完全に「同人ゴロ」的な展開になっていきそうなのだけど、ヒメも結構、キツいことを言いながらもその辺りは配慮するなど、バランスが取れた形で進むなぁ、というのを感じた。
その上での指摘……
「当選したのに、なぜ報告しない!」
「宣伝のために、イラストを毎日UPせよ!」
……ごめん、凄く胸が痛い……
自分の場合、同人誌を作っている、とは言え、ジャンルが違い、イラストとかのない評論だから、っていうのはあるんだけど、自分もあまりそれはしていなかった。そもそも、うちのサークルは、隙間産業みたいなところがあるしなぁ……。でも、確かに、同じジャンルで競合する相手がいるようなところでは、宣伝とか、そういうのは凄く重要なのは確か。いきなり鬼の編集者モードに入るヒメとのやりとりとかに笑わされたのは確か。
正直なところ、魔王云々に関しての、終盤のバトルとかは設定とか大分ぶっ飛ばしている感じはするし、上手くいきすぎじゃないか、と思うところもある。でも、同人誌作成に関するアレコレとかを題材に、やっている自分自身も色々と胸に刺さる部分がある、というリアリティはお見事の一言。
No.5863

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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第12回GA文庫大賞・金賞受賞作。
世界が滅びるのを防ぐには、同人誌を100部頒布しなければならない! ……よくよく考えるとすげぇ設定だなぁ……
物語は冒頭に書いたような形で始まるのだけど、魔王が復活して世界が滅びる云々、っていう設定はあるのだけど、物語的には同人誌頒布に関するアレコレという部分が強い印象。自分自身、同人誌作りとかをやっている人間なので(ジャンルは全く別だけど)、その中でのアレコレというのは、色々と「そうだよな」と思うところアリ。
主人公は、これまた冒頭で書いたように、同人活動を始めたは良いが、頒布できた数は累計で僅か6部。ある意味で、嫌味ったらしくやってくる悪友的な存在であるメイドちゃんが買う程度。そんな主人公に対して、100部を頒布せよ! 勿論、主人公は半信半疑ではあるが、ヒメの献身的な協力などもあり、新作創作に取り組む。勿論、その中で、作品のコンセプトに対しての対立があったり、とか、そういうこともありながら……
同人誌は、「自分の好きなもの、愛しているものを表現するんだ!」という主人公と、しかし、「売れる」ことが優先と言うヒメ。その辺りの対立って、どうしたってあるよね。そもそもが、何を題材にするのか、とか、そういうのも含めて。これ、悪い方に進むと、完全に「同人ゴロ」的な展開になっていきそうなのだけど、ヒメも結構、キツいことを言いながらもその辺りは配慮するなど、バランスが取れた形で進むなぁ、というのを感じた。
その上での指摘……
「当選したのに、なぜ報告しない!」
「宣伝のために、イラストを毎日UPせよ!」
……ごめん、凄く胸が痛い……
自分の場合、同人誌を作っている、とは言え、ジャンルが違い、イラストとかのない評論だから、っていうのはあるんだけど、自分もあまりそれはしていなかった。そもそも、うちのサークルは、隙間産業みたいなところがあるしなぁ……。でも、確かに、同じジャンルで競合する相手がいるようなところでは、宣伝とか、そういうのは凄く重要なのは確か。いきなり鬼の編集者モードに入るヒメとのやりとりとかに笑わされたのは確か。
正直なところ、魔王云々に関しての、終盤のバトルとかは設定とか大分ぶっ飛ばしている感じはするし、上手くいきすぎじゃないか、と思うところもある。でも、同人誌作成に関するアレコレとかを題材に、やっている自分自身も色々と胸に刺さる部分がある、というリアリティはお見事の一言。
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