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ようこそ来世喫茶店へ ~永遠の恋とメモリーブレンド~

著者;辻堂ゆめ



大学に進学し、憧れていたカフェ店員となるべく面接へ向かった未桜。ところが、その途中、寿命でもないのに「来世喫茶店」へ招かれてしまう。そこは、死亡した者が特別なコーヒーを飲みながら人生を振り返り、来世の生き方を決める場所だという。少年の店員・旭、浮世離れしたマスターのその店で、未桜は、死亡した人々の接客をすることとなって……
著者の作品ということで手に取ったのだけど、このレーベルはやはり女性向け的なテイストなのかな? まあ、本作については、男が読んでも、普通に楽しめる作品であることは間違いないのだけど。巻末の粗筋を読むと、未桜とマスターの恋愛話のように感じるのだけど、どちらかと言うと、店を訪れた客の抱えている問題とか、そういうものを解決する連作短編という方があっていると思う。
1編目『メモリーブレンド』。店を訪れたのは、元鍛冶職人の男性。彼が頼んだのは、過去の記憶を振り返るメモリーブレンド。そこで彼が見ることとなったのは、亡き妻へのプロポーズの場面。なけなしの金で買ったトルコ石を自ら結婚指輪にして渡した。しかし、結婚後は諍いも多い結婚生活になってしまった。そして、自分が作った結婚指輪も、いつしか行方知らずになって……。自分の結婚は失敗だったのか? そんな男の想いに対し、未桜らが導いた答えは……
トルコ石というものの持つ意味。男が持っていたお守り。その中に込められた思い。諍いだらけだったけど……という関係が素直に美しかった。
物語としてひねってきたな、と感じたのは3編目『マスターのカウンセリングティー』。店を訪れた女性。彼女は、親友との関係を悔やんでいた。
学生時代、親友に引きずられる形で始めた路上ライブ。多くの客を集めたそれは、二人の関係になくてはならないものになった。そして、大学を卒業後も、それは続けてきた。しかし、結婚をし、専業主婦となった彼女とキャリアウーマンとしての道を歩んだ親友。会う機会も減り、たまに親友をライブに誘っても断られる日々。ようやく、一緒に過ごす時間を作った時も、その話題で諍いになり、その夜……
親友に何があったのか? というのを探ることが本編ではあるのだけど、別の方法でも良かったのになぜ、その方法を取ったのか? そこに隠された秘密。来世喫茶店、そのメニュー。それぞれが持っている特色をうまく活かした話に「なるほど!」という感じ。
で、そんな客とのやりとりの間に挟まれる未桜のマスターへの想い。マスターは過去、思い人がいた、らしい……。そんな中で……
物語の基本線は、確かに、未桜とマスターの関係性ということになるのだろうけど、ミステリー作家としての著者のファンである自分には、各編の謎解き部分に惹きつけられた。

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Tag:小説感想 辻堂ゆめ

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