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Ghost ぼくの初恋が消えるまで

著者:天祢涼



なんでいのり姉ちゃんがここにいるの? 殺されたはずなのに……。生方理人の前に現れたのは、連続殺人犯に殺された6歳年上の幼馴染・いのりの幽霊。犯人の顔を見ているいのりは、自分を殺した犯人を逮捕するため、彼女事を見ることが出来る理人に協力を求め……
著者の作品はそれなりに読んでいるつもりなのだけど、やっぱり一筋縄ではいかないなぁ……というのが何よりも思ったこと。
物語は冒頭に書いたように、10歳の理人の幼なじみで、淡い想いを抱いている6歳上のお姉さん・いのりが殺された。そして、その幽霊が目の前に現れた、というところから始まる。この幽霊というのは、理人の想像の産物とか、そういうものではなくて、理人が知らない、犯人の正体なども知っている、ちゃんと独立した思考を持った存在。そして、そのいのりの願いである「犯人を捕まえてほしい」という願いに応えようと方策を考える……というところから始まる。
理人は、いのりの言葉もあって犯人が誰なのか知っている。しかし、それを言っても警察は取り合ってくれない。その中で、信憑性を感じた、という刑事が出てくるが、それでもなかなか上手くいない……。それでも……で終わる第1章。ここで、いきなりのひっくり返し。周囲からも、年齢に比べて落ち着いている。大人っぽい、なんて評価をされる理人。だからこそ、と思っていたら……の裏腹の展開。まず、そこに驚かされた。
そんな第1章が『16歳と10歳』。そして、その後、『16歳と13歳』、『16歳と16歳』と、年を重ねていく理人と、死んだときのままのいのり、という関係性で、理人の周辺で事件が起きていく。それを、いのりの協力などもありつつ解決していくのだが……
理人の、人並外れた推理力とか、そういう部分で事件を解決しつつ、年齢を重ねる中で……という形で、どういう風に決着をつけるのか? と思ったら、それまでの話の中で、ちょっと描かれなかったアレコレ。作中の事件に、そのままつながるわけではないアレコレというのが伏線となって、その最初の事件へ……。これが見事だな、と思うのは、いくら敏い、とは言え、10歳だった理人と、成長した理人の違い。その辺りをしっかりと印象付ける部分。1編目の理人の狙いと、それによる後悔と言うのが、しっかりと伏線になっている、という部分だろう。
最初の事件のもう一つの真相。そこにある後味の悪い結末。そして……
タイトルの意味するもの。そして、終章の終わり方……
「初恋が消える」が何を意味するのか? その辺りも余韻を残す終わり方だった。

No.5876

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Tag:小説感想 天祢涼

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