呪い禍 古道具屋皆塵堂
- 20, 2021 12:47
- や行、ら行、わ行の著者
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著者:輪渡颯介

運悪く、長年勤めていた修行先を辞めることになった麻四郎。途方に暮れる彼は、店の常連であったご隠居・千右衛門に、古道具屋である皆塵堂を紹介される。普通の人は数日で店を去る、という皆塵堂で働き始めた麻四郎だったが、そこは曰くつきの品が集まる店で……
シリーズ第8作。
あとがきで、著者自身が触れているのだけど、「シリーズ完結」とは一体……?
てなわけで、実に5年ぶりに読んだ本シリーズ。流石に、大分、記憶が薄れてしまった部分はあって、これまでのシリーズの主人公の名前とかがどうだったっけ? なんていう部分もあったのだけど、読みながら、「ああ、こいつは、こうだった」っていうのを思い出してきた。
何と言うか……今回の主人公・麻四郎は、これまでの主人公たちと比べると、非常に真面目で、真っ当な人間。不運続きで、皆塵堂へと流れついた、という部分はあるのだけど、じゃあ、その不運は人生が終わるほどのものか、と言えばそうではないし、長年、料理人として修業をしてきた、ということでちゃんとした技能も持っている。だからこそ、皆塵堂にはいられない、と言われるが……
これまでのシリーズと同様に、皆塵堂に入ってきた依頼。古道具を買い付けに行ったりして、そこで、幽霊騒動に巻き込まれて……という話が続くわけだけど、麻四郎、結構、達観しているんだよね。これまでの主人公たちが巻き込まれて、なんて話はあるけど、その主人公たちとのやり取りとかをしながら、何だかんだと言いながらも皆塵堂に順応。なかなか図太いじゃないか、とか思うほどに。
そんな話の中で、やっぱり印象に残るのは、かつての主人公であり、しかし、幽霊の存在を認めていない連助との話かな? 自分の見たものは、本当に幽霊だったのか? と言うときに現れ、そんなことはない! と断言する連助。そこに共感も持ったのだけど、いざ、出先では、幽霊としか思えないものに遭遇。……が、連助は驚異的な引きで、それを見ることなく終了。相変わらずの様子に、何か苛立ちも感じる麻四郎だったが、店の小僧(?)・峰吉の一言で……。ある意味でメタ視点での話と、そこにもう一段オチを付けたまとめ方に思わずくすり。
で、そんな物語は、麻四郎自身のことに。先に書いたように、不運続きではある。しかし、では、最悪なのか? と言えばそうでもない。それこそが、麻四郎の一族にかけられた呪い、だという。さらに、霊を見ることが出来る元奉公人の太一郎は、皆塵堂に来たのは意味がある、とも言っていた。それは……
呪いの意味するところ。過去シリーズでも、最もまともな人間と言われる麻四郎の人間性。そんな彼がなぜ、皆塵堂に来る必要があったのか? その辺りがスッキリとし、確かにちゃんと意味があったんだ、という結末は希望そのもの(一部、アレな状態になった人はいるけど) シリーズ再会っぽいのだけど、それにふさわしい話じゃないかな、と思う。
No.5885

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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運悪く、長年勤めていた修行先を辞めることになった麻四郎。途方に暮れる彼は、店の常連であったご隠居・千右衛門に、古道具屋である皆塵堂を紹介される。普通の人は数日で店を去る、という皆塵堂で働き始めた麻四郎だったが、そこは曰くつきの品が集まる店で……
シリーズ第8作。
あとがきで、著者自身が触れているのだけど、「シリーズ完結」とは一体……?
てなわけで、実に5年ぶりに読んだ本シリーズ。流石に、大分、記憶が薄れてしまった部分はあって、これまでのシリーズの主人公の名前とかがどうだったっけ? なんていう部分もあったのだけど、読みながら、「ああ、こいつは、こうだった」っていうのを思い出してきた。
何と言うか……今回の主人公・麻四郎は、これまでの主人公たちと比べると、非常に真面目で、真っ当な人間。不運続きで、皆塵堂へと流れついた、という部分はあるのだけど、じゃあ、その不運は人生が終わるほどのものか、と言えばそうではないし、長年、料理人として修業をしてきた、ということでちゃんとした技能も持っている。だからこそ、皆塵堂にはいられない、と言われるが……
これまでのシリーズと同様に、皆塵堂に入ってきた依頼。古道具を買い付けに行ったりして、そこで、幽霊騒動に巻き込まれて……という話が続くわけだけど、麻四郎、結構、達観しているんだよね。これまでの主人公たちが巻き込まれて、なんて話はあるけど、その主人公たちとのやり取りとかをしながら、何だかんだと言いながらも皆塵堂に順応。なかなか図太いじゃないか、とか思うほどに。
そんな話の中で、やっぱり印象に残るのは、かつての主人公であり、しかし、幽霊の存在を認めていない連助との話かな? 自分の見たものは、本当に幽霊だったのか? と言うときに現れ、そんなことはない! と断言する連助。そこに共感も持ったのだけど、いざ、出先では、幽霊としか思えないものに遭遇。……が、連助は驚異的な引きで、それを見ることなく終了。相変わらずの様子に、何か苛立ちも感じる麻四郎だったが、店の小僧(?)・峰吉の一言で……。ある意味でメタ視点での話と、そこにもう一段オチを付けたまとめ方に思わずくすり。
で、そんな物語は、麻四郎自身のことに。先に書いたように、不運続きではある。しかし、では、最悪なのか? と言えばそうでもない。それこそが、麻四郎の一族にかけられた呪い、だという。さらに、霊を見ることが出来る元奉公人の太一郎は、皆塵堂に来たのは意味がある、とも言っていた。それは……
呪いの意味するところ。過去シリーズでも、最もまともな人間と言われる麻四郎の人間性。そんな彼がなぜ、皆塵堂に来る必要があったのか? その辺りがスッキリとし、確かにちゃんと意味があったんだ、という結末は希望そのもの(一部、アレな状態になった人はいるけど) シリーズ再会っぽいのだけど、それにふさわしい話じゃないかな、と思う。
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