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オムニバス

著者:誉田哲也



姫川玲子の活躍を描く短編集。全7編を収録。
1編目『それが嫌なら無人島』。葛飾署で取り調べ中の殺人の応援に入った姫川玲子。女子大生が殺害された事件で確保された容疑者・大村は、本所で起きた事件にも関わっているとされ、ガンテツからはその事件については深入りするなと忠告される……
短慮がそのまま大人になったような男・大村。ガンテツの忠告とかはあるが、その事件に関してはそんな彼の短慮が引き金。レンタル店で働く彼の前に現れたのが被害者の女子大生。しかし、その女子大生は、とんだ食わせ物で……。本来は、相手に伝えるためにある様々な情報。しかし、その情報を悪用する者がいて、それを取得するために悪事を働く者がいて……。ガンテツの話はそこまで重要か? という気はするが、その辺りを別として、現代社会のアレコレと、皮肉この上ない真相が印象的。
個人的に一番、印象的だったのは5編目『根腐れ』。
覚醒剤所持で逮捕されたのは、モデル、女優である小谷麻里子。その取り調べに抜擢されたのは姫川玲子。何となく不機嫌に見えた玲子だったが、取り調べが始まると始まったのは雑談ばかりで……。時間がないはずの取り調べ。姫川が抜擢されたのは、麻里子に取り込まれないため。それなのに……。そんな中、薬の売人と、彼女には妹がいることが判明して……
麻里子の本当の人物像はどういう存在なのか? それを探るための子の搦め手とでも言えるような策略。そして、麻里子の仮面をはがした時、玲子が麻里子にはなった一言……。まぁ、確かに、そういう部分はあるだろう。玲子の過去が過去なだけに、彼女が何よりもそういう存在のことを知っていた。そういう意味では、確かに玲子の抜擢は最適解だった、ということになるのだろう。
今回の物語。玲子視点の物語もあるのだけど、多くは、姫川班の、別の人物が玲子と行動を共にして、という形で綴られる。玲子視点では、どういう意図をもって捜査するのかがわかるので、変な印象はうけないのだけど、5編目のように、他者の視点では……。視点を変えたからこその意外性。ガンテツが玲子のことを忌み嫌う理由。そういうのがちょっとわかったような気がする。

No.5933

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Tag:小説感想誉田哲也

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