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四元館の殺人 探偵AIのリアル・ディープラーニング

著者:早坂吝



「犯罪オークションへようこそ!」 犯人AIの以相が電脳空間で開催した闇オークション。それを落札したのは、従姉の復讐を誓う少女だった。そのたくらみを阻止すべく、探偵AIの相以と助手の輔は、R県の山中にある四元館を訪れる。四元家の面々が住むその館で、不可解な殺人事件が起こって……
シリーズ第3作。
読む前に、「このトリックはすげえ!」という噂は聞いていたのだけど、確かにすごかった!
まず、前提として、四元館に住まう四元家の面々。普通の作品で、この設定だと名家の一族で、という形になる。けれども、この作品の場合は、依頼人と思しき四元家の令嬢・錬華の父が一代で富を成し、その富を目的に住み着いたのが、他の四元家の面々。なので、一族ではあるが、錬華を亡き者にしてその遺産を、という思いを抱いている面々。だからこそ、錬華にとっては油断ならない存在ともいえる。そして、そんな館で起きた事件。
発端となった殺人自体が、いわゆる雪密室。さらに、銃を発砲したと思われた側が殺され、密室である部屋の中の、さらに密室である風呂場での殺人。それぞれが不可能犯罪と言える状況。そのような中で、相以が導き出したのは……
確かに、このトリックというか、犯人というかは全くの予想外。
本格モノにおいて、こういったギミックがある、という作品はそれなりに知っているつもりだったけど、さらにそれを一歩進めた、ということなのかな? まぁ、この作品の場合、そもそも世界観が世界観なので、そういうトリックもあってしかるべきだった、というのは確か。しかも、その真相に至るための諸々の情報はしっかりと提示されているとか、つくり自体もすごく丁寧。そういう部分で、物凄くしっかりとしたミステリに仕上がっている。
ただ、この手の作品ではいつも思うのだけど……
実際に工事を手掛けた人々は、この仕掛け、どう思っているんだろう?

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Tag:小説感想早坂吝

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