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白バイガール フルスロットル

著者:佐藤青南



神奈川県の代表として白バイ競技の全国大会に出場が決まった木乃美。関東の代表選手との合同練習をきっかけに、各県の選手とも仲良くなる。そんな中、代表選手で集まる機会を設けるのだが、集合するその日、前年優勝者が不可解な事故で怪我をした、という一報が入ってくる。一方、横浜市内では、暴力団と韓国人マフィアの対立が激化していた。そんな中、潤は一人の在日韓国人の青年・姜と知り合う……
シリーズ6作目で、シリーズ完結編。
あとがきによると「木乃美の成長物語として、一区切りがついたからここで完結」、とのことだけど、ここから続編が出ても全く違和感を感じない……。数年後くらいに、新作が出そうな気がする。
物語としては、木乃美、潤。それぞれが別の事件を追う、という印象が強い。
木乃美が追うことになるのは、大会出場者の不可解な事故の謎。前年の競技会優勝者、という並外れた白バイ運転技術を持つ選手の事故。波のライダーならばともかく、そのような技術を持った選手がそう簡単に転倒事故を起こすのか? さらに、同じような事故が再び……。どちらも、突如として猫が飛び出してきて、それを避けようとした結果の事故。しかし、そんなに都合よく、猫が飛び出すものだろうか? しかし、人為的に、としても、猫を投げたような存在は見ていないし、他に目撃者はいない。一体、どういう仕掛けがあるのか? さらに、何のために?
一方の潤。横浜市内で高まる緊張。暴力団と韓国マフィアの対立。そんな中で知り合った青年・姜は、一見、突っ張っているように見せて、一緒に暮らす祖母を慕い、その祖母との平和な生活を何よりも大事にする優しい青年。マフィアの存在をある程度、知っている青年から情報を、という目的はあるが、しかし、同時に姜を応援したい、という気持ちも高まっていく。だが、横浜市内で起きた銃撃事件で姜の祖母が殺されてしまい……
木乃美、潤、双方の事件の背景に共通点があるのだけど、しかし、なにかチグハグ。それを結び付けるものは?
トリックという意味では木乃美、ドラマという点では潤という感じの物語かな? 選手の事故については、「なるほど!」というトリックではあるのだけど、犯人の動機はかなりショボい。一方で、潤の方は……。姜という青年の心意気。だからこそ、結末における潤のやるせない気持ち。潤も、姜も、正直で純粋な存在。だからこその後味があった。
先に、数年後くらいに続編が出るんじゃない? と書いたけど、実は、むしろ続編希望!
潤と成瀬とか、気になるもんで。

No.5958

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Tag:小説感想佐藤青南

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