著者:月原渉

代々、焼き物にまつわる仕事をしてきた夏季屋家。特に13代目の夏季屋肇は、その類稀なる才能をもって知られた。山陰に建てた館に閉じこもり、焼き物作りに没頭する彼は、腕、脚、視力……と言った欠損を抱えた者たちを弟子にしていた。病に侵され、最後の傑作を目指す彼は、しかし、突如として失踪してしまう。弟子たちの後継者争いが激化する中、弟子のひとりである巴は心を痛めていた。そんな中、「しずか」という新たな弟子が現れたとき、惨劇が始まる……
シリーズ第5作。
今回は、ちょっと趣を変えてきたかな? という印象。
物語は、弟子のひとりである巴の視点で綴られる。まだまだ、女性が……という時代に、女性でありながら肇の弟子に取り立てられた巴。師匠が行方不明になったことで、後継者を巡って家族同然に過ごしてきた弟子たちが争うことに心を痛めている。そんな中、「しずか」という日本語を喋ることのできない新たな弟子(?)が現れたとき、惨劇が始まる……
弟子たちの中にある友好関係。その中で起きる事件は、なぜか身体のどこかを切り取られている。そして、密室状態で事件が……。
「欠けたものがあるからこそ、それを埋めようと傑作を作れる」
そんな師匠の言葉を信じてきたが、事件が続く中、浮かんでくる疑惑。それは、弟子たちの欠損を作ったのは他ならぬ師匠ではないのか? 考えてみると、巴自身も何者かに襲われて腕を失った。さらに、「欠損した者」で良いのならば、なぜ欠損の重複がないのか? そんな疑惑が続く中、事件は続き、そして、師匠の死の真相だけはわかって……。
シズカが探偵として活躍するのは後日談的な部分。師匠の失踪の理由などが判明したあとで、シズカが解いていく事件の謎。密室の中途半端さ、バラバラにされた遺体から手繰り寄せることが出来る真相。でも……。すべてが判明していたという物悲しさが印象に残った。
と、同時に今回、事件の背景などに人外の存在をほのめかすものがあったりとか、夏季屋の真相とかも出てきて、世界観そのものの掘り下げも現れてきたな、というのを感じる。
No.5966

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
代々、焼き物にまつわる仕事をしてきた夏季屋家。特に13代目の夏季屋肇は、その類稀なる才能をもって知られた。山陰に建てた館に閉じこもり、焼き物作りに没頭する彼は、腕、脚、視力……と言った欠損を抱えた者たちを弟子にしていた。病に侵され、最後の傑作を目指す彼は、しかし、突如として失踪してしまう。弟子たちの後継者争いが激化する中、弟子のひとりである巴は心を痛めていた。そんな中、「しずか」という新たな弟子が現れたとき、惨劇が始まる……
シリーズ第5作。
今回は、ちょっと趣を変えてきたかな? という印象。
物語は、弟子のひとりである巴の視点で綴られる。まだまだ、女性が……という時代に、女性でありながら肇の弟子に取り立てられた巴。師匠が行方不明になったことで、後継者を巡って家族同然に過ごしてきた弟子たちが争うことに心を痛めている。そんな中、「しずか」という日本語を喋ることのできない新たな弟子(?)が現れたとき、惨劇が始まる……
弟子たちの中にある友好関係。その中で起きる事件は、なぜか身体のどこかを切り取られている。そして、密室状態で事件が……。
「欠けたものがあるからこそ、それを埋めようと傑作を作れる」
そんな師匠の言葉を信じてきたが、事件が続く中、浮かんでくる疑惑。それは、弟子たちの欠損を作ったのは他ならぬ師匠ではないのか? 考えてみると、巴自身も何者かに襲われて腕を失った。さらに、「欠損した者」で良いのならば、なぜ欠損の重複がないのか? そんな疑惑が続く中、事件は続き、そして、師匠の死の真相だけはわかって……。
シズカが探偵として活躍するのは後日談的な部分。師匠の失踪の理由などが判明したあとで、シズカが解いていく事件の謎。密室の中途半端さ、バラバラにされた遺体から手繰り寄せることが出来る真相。でも……。すべてが判明していたという物悲しさが印象に残った。
と、同時に今回、事件の背景などに人外の存在をほのめかすものがあったりとか、夏季屋の真相とかも出てきて、世界観そのものの掘り下げも現れてきたな、というのを感じる。
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