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忌名の如き贄るもの

著者:三津田信三



生名鳴地方の村に伝わる奇妙な儀式。その儀式の最中、殺人事件が発生する。大学の先輩・福太の婚約者は、その家の出身。先輩の婚姻を進めるため、刀城言耶は、福太らと共に、村へと向かうのだが……
刀城言耶シリーズの作品。
なのだけど、このシリーズとしては異例なほどにシンプルな物語だな、というのをまず思った。
言耶の大学の先輩・福太の婚約者・尼耳李千子。尼耳家は、村で2番目の素封家。彼らは7歳になると他者に決して伝えてはならない「忌名」を与えられる。そして、村では7歳、14歳、21歳と儀式に相対するという義務を負っている。そして、その儀式では、山中の滝まで札を運ぶ。しかし、その道中では、何者かが追ってくるが決して振り向いてはならない、ということになっている。そんな尼耳家の後継者とされていた市糸郎が14歳の儀式の中、何者かに殺害されてしまった……
儀式の中に現れる存在は一体、何者なのか? その儀式の意味は? 地元警察から、言耶は捜査協力を依頼されて……
事件当日、関係者の面々がどこにいたのか? という部分はわかっているが決め手に欠ける。その中で、何よりも重視されるのは動機……
李千子の祖父で、当主は、ただただその家を継がせることのみを考えている存在。殺された市糸郎は、李千子の父がよその女に産ませた子。一方で、市糸郎の双子の妹は、儀式にも参加させてもらっていない。関係者それぞれに、動機があるようなないような……。そのような中、村一の素封家・銀鏡家の少年・和生が同様の手口で殺害されてしまう……
それぞれの立場とか、そういうものから動機などを考え、自身が言うように「迷いながら」進んでいく推理。そして、その結末とひっくり返し、というまとめ方は綺麗。特に、真犯人やら何やらを横から考えて……という部分はなるほど! と思わされた。現在の社会でも、そういう部分が皆無とは言えないけど、当時はより、そういうのが強固だろうし。そういう意味では素直に納得。そして、最後の一言も……
ただ、400頁ほどの分量で引っ張った割には、大分、シンプルだったな、という感じもするのも確か。

No.5979

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Tag:小説感想三津田信三

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