著者:小田一文

同人誌100部の頒布に成功し、見事、魔王復活阻止を成し遂げた俺とヒメ。だが、その達成感からか、俺は何も書けない状態に陥ってしまう。そんな中、大学の部室で出会ったのはプロの小説家でもある通称「文芸先輩」。俺と同じソラフネの愛好家である彼女から俺は、同人誌のイラストを描いてほしいと依頼されるのだが……
なんか、前作以上に魔王とか、世界の危機とかの要素が薄まり、同人誌作成という部分が強化された印象。一応、文芸先輩は、未来でヒメと対立する「魔女」である、ということは示されている。そのこともあって、ヒメは文芸先輩に協力することに反対。しかも、スランプという部分もまた……というのが話の中心に。
最初に言うと、確かに、同人誌即売会で「小説」っていうのは売れないんだよな……。漫画の場合、中のイラストとかそういうので訴求力があるし、しかも、数十頁あってもあっという間に読み終えることが出来る。しかし、小説は文字通り、文字だからパッと見て良し悪しはわからない。面白いのかどうかも読み進めないとわからない。そういう意味で非常に難しいところ。そんな小説同人誌に協力をすることに……。売り方の基本としては、前作同様の部分があるにせよ、前作とは違ったアプローチの物語がまず面白かった。
そして、スランプ。これ、自分は競馬、それも障害競馬というジャンルでサークルをやっているわけだけど、ある意味で自由度は高い。つまり、騎手の成績でも良いし、特定の馬の特集でもいいし、はたまた血統でもいい。色々とアプローチのしようはある。それでもネタ切れを感じることもあったりする。しかし、主人公の場合、特定の題材(=ソラフネ)で、しかもキャラクターも限定。いくら、その作品を愛している、としても、それを何作も、というのは並大抵のことではないはず。それを一つの目標達成で気が抜けてしまって……というのは十分にあり得るのではないか、と感じた。
ただ、そんな主人公が、先輩の同人誌の失敗。ヒメも巻き込んでの再挑戦の中で、再び……という流れは素直にうまい。これが、同じ、漫画であれば、前作の評判もあるから、駄作になったとしてもそれなりには頒布できるだろうけど、別のジャンルではそうはいかない。頂点からどん底、そして、再び……。勿論、先輩は今回の話の中心人物なのだけど、同時に主人公の状況を上下させるためにも非常に大きな役割を持っている、というのを感じた。
最初にも書いたように、世界の危機とか、そういう要素がかなり薄めではあるのだけど、素直に同人誌を巡っての青春もの、というだけでも面白かった。
ただ、鬼の編集者モードのヒメちゃん、ちょっと怖い。
No.5980

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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同人誌100部の頒布に成功し、見事、魔王復活阻止を成し遂げた俺とヒメ。だが、その達成感からか、俺は何も書けない状態に陥ってしまう。そんな中、大学の部室で出会ったのはプロの小説家でもある通称「文芸先輩」。俺と同じソラフネの愛好家である彼女から俺は、同人誌のイラストを描いてほしいと依頼されるのだが……
なんか、前作以上に魔王とか、世界の危機とかの要素が薄まり、同人誌作成という部分が強化された印象。一応、文芸先輩は、未来でヒメと対立する「魔女」である、ということは示されている。そのこともあって、ヒメは文芸先輩に協力することに反対。しかも、スランプという部分もまた……というのが話の中心に。
最初に言うと、確かに、同人誌即売会で「小説」っていうのは売れないんだよな……。漫画の場合、中のイラストとかそういうので訴求力があるし、しかも、数十頁あってもあっという間に読み終えることが出来る。しかし、小説は文字通り、文字だからパッと見て良し悪しはわからない。面白いのかどうかも読み進めないとわからない。そういう意味で非常に難しいところ。そんな小説同人誌に協力をすることに……。売り方の基本としては、前作同様の部分があるにせよ、前作とは違ったアプローチの物語がまず面白かった。
そして、スランプ。これ、自分は競馬、それも障害競馬というジャンルでサークルをやっているわけだけど、ある意味で自由度は高い。つまり、騎手の成績でも良いし、特定の馬の特集でもいいし、はたまた血統でもいい。色々とアプローチのしようはある。それでもネタ切れを感じることもあったりする。しかし、主人公の場合、特定の題材(=ソラフネ)で、しかもキャラクターも限定。いくら、その作品を愛している、としても、それを何作も、というのは並大抵のことではないはず。それを一つの目標達成で気が抜けてしまって……というのは十分にあり得るのではないか、と感じた。
ただ、そんな主人公が、先輩の同人誌の失敗。ヒメも巻き込んでの再挑戦の中で、再び……という流れは素直にうまい。これが、同じ、漫画であれば、前作の評判もあるから、駄作になったとしてもそれなりには頒布できるだろうけど、別のジャンルではそうはいかない。頂点からどん底、そして、再び……。勿論、先輩は今回の話の中心人物なのだけど、同時に主人公の状況を上下させるためにも非常に大きな役割を持っている、というのを感じた。
最初にも書いたように、世界の危機とか、そういう要素がかなり薄めではあるのだけど、素直に同人誌を巡っての青春もの、というだけでも面白かった。
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