fc2ブログ

ホワイトバグ 生存不能

著者:安生正



グリーンランド、ギュンビュルン山で遭難した人々の救助に向かった登山家・甲斐はそこで、腹を食いちぎられた人間の遺体を発見する。間もなく帰国する甲斐だったが、直後に今度はアフガニスタン、ワハーン回廊で失踪した気象観測隊の捜索を依頼される。しかし、そこで甲斐たちが見たものは……
著者の作品は、大雑把に政治的なアレコレを中心にしたものと、パニックものを題材にした作品にわけられると思うのだけど、本作は後者。
グリーンランド、アフガニスタンで起きた人々の失踪、惨殺事件。死亡した人々は、腹などを食いちぎられ、中にはバラバラの状態になった者も。肉食獣に襲われた、としても数が多すぎるし、さらに世界の各地で街が一つ消えてしまう、というような事件が相次ぐ。序盤は、一体、何が起こっているんだ? という状況が続いていく。何しろ、世界各地で同時多発的に発生。背景に地球温暖化などがあるのだろう、とは思うものの何かがおかしい。
そして、そこで発覚したのは、雪のように見える小さな生物。クマムシのような節足動物で、人間の肉体を食い破って体内に侵入し、そこに卵を産み付ける。そして、孵化した卵は肉体を食い破って……。何が起こっているのか、というのはわかった。しかし、なぜ? どこで発生したのか? そんな調査をする中で、どんどんその地球上に溢れていき、アフガニスタンで発生したそのせいぶつのむれは中国を席巻。そして、日本へと向かっていく……。そんな生物の脅威に対し、日本政府は、甲斐は……
何が起きているのかはわからないが、しかし、確実に異常なことが起きている、という序盤の展開。その正体が判明し、対策を取るために研究者たちと調査をする甲斐だったが、政府は何かを隠している。さらに、甲斐自身、同じ登山家であった妻を救助できず、そのことで息子との関係が悪化している中で次々と要請される仕事……。その中で、同行をする挫折した研究者の意地であるとか、色々と隠し事をしていた政治家の、実は熱い想い、抑えるべきところは抑えていると思う。スピーディな展開に惹きつけられたのは確か。
ただ、何かきれいな結末っぽく描かれているけど、これ、状況が打破できたの? 一つの危機は脱したけど、何とか一つの群れを……ってだけだし……これだけ急激に繁殖とかを繰り返しているなら、すぐに新しい形の進化(?)とか出てきそうなんだけど……
何よりも……
すでに地球の大部分、滅んでいる気がするんだけど……

No.5985

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。

スポンサーサイト



Tag:小説感想 安生正

COMMENT 0