著者:野村美月

シリーズ第5作となる短編集。全4編を収録……というか、40頁くらいの短編3編と、ちょっと短めの長編作品1編という印象。
まずは、序盤の短編エピソードに関して。
1番笑わせてもらったのは2編目『好色一代男』。妻科さんとの一見以来、女の子の注目を集めるようになったむすぶのクラスメイト・若迫くん。そんな若迫くんから「相談に乗ってほしい」と頼まれる。それは、「デートはどうすれば良いのか?」ということ。告白されても断っていた若迫くんだが、一度付き合ってみてからでどうか? という提案を飲むことにしたからだという。そんな若迫君のデートを近くで見守ることにしたのだが……
若迫くん、色々と間違っていると思う。そもそも、相談する相手を間違っているし(むすぶだけでなく、赤星くんだったり、そこに呼びかけるのがタイトルでもある『好色一代男』だったり……。そして、デートもまた……。まぁ、水球観戦とかそういうのはそういうのは許すとしても、根本的におかしいよ! それも含めてのタイトル作品だったのかな、と。
3編目『リルケの詩集』。こちらは、悠人の初恋とか、そういう部分で難儀な人やなぁ……っていうのがあるんだけど……実は、感想としてはそれよりも、文学少女シリーズのあの二人のその後が垣間見えたことが嬉しかったり。流人……お前……
そんな短編集を経ての、表題作。
中学2年のとき、出会った本を忘れられずにいたむすぶ。1年後、再び、その地を訪れ、その本との再会を楽しみにしていた。そして、その本の持ち主である姫倉家の屋敷に向かうのだが……
その本『夜長姫と耳男』を読んだ人間はおかしなことになってしまう。屋敷の主である鏡見子の周囲で次々と起こっていた不穏な事件。その本に「罹患」した? しかし……。本に罹患する、という特殊設定が物語の中心にあるわけだけど、だとしてもおかしなことが多い事件。むすぶの耳に聞こえてくる「ここから離れて」という本たちの叫び。そして、自分自身が「本だ」という鏡見子。果たして、彼女は……
問題があるのは誰なのか? そんな部分を巡っての流れの中で、むすぶが導く結論は……。やはり本と会話が出来、その言葉を聞くことができるから……。ミステリという印象もありつつ、しっかりと根幹と言える部分が描かれていたのが印象深い。
……でも、中学生で、恋したのが本って……
No.5986

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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若迫くん、色々と間違っていると思う。そもそも、相談する相手を間違っているし(むすぶだけでなく、赤星くんだったり、そこに呼びかけるのがタイトルでもある『好色一代男』だったり……。そして、デートもまた……。まぁ、水球観戦とかそういうのはそういうのは許すとしても、根本的におかしいよ! それも含めてのタイトル作品だったのかな、と。
3編目『リルケの詩集』。こちらは、悠人の初恋とか、そういう部分で難儀な人やなぁ……っていうのがあるんだけど……実は、感想としてはそれよりも、文学少女シリーズのあの二人のその後が垣間見えたことが嬉しかったり。流人……お前……
そんな短編集を経ての、表題作。
中学2年のとき、出会った本を忘れられずにいたむすぶ。1年後、再び、その地を訪れ、その本との再会を楽しみにしていた。そして、その本の持ち主である姫倉家の屋敷に向かうのだが……
その本『夜長姫と耳男』を読んだ人間はおかしなことになってしまう。屋敷の主である鏡見子の周囲で次々と起こっていた不穏な事件。その本に「罹患」した? しかし……。本に罹患する、という特殊設定が物語の中心にあるわけだけど、だとしてもおかしなことが多い事件。むすぶの耳に聞こえてくる「ここから離れて」という本たちの叫び。そして、自分自身が「本だ」という鏡見子。果たして、彼女は……
問題があるのは誰なのか? そんな部分を巡っての流れの中で、むすぶが導く結論は……。やはり本と会話が出来、その言葉を聞くことができるから……。ミステリという印象もありつつ、しっかりと根幹と言える部分が描かれていたのが印象深い。
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