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僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない

著者:紙城境介



「自明の理です」 生徒相談室の引きこもり少女・明神凛音は、どんな事件の犯人でも神の啓示を受けたかのごとく、その犯人を言い当てる。だが、無意識に推理をするため、そこに至る論理を説明することが出来ない。弁護士を目指す少年・伊呂波透矢は、彼女を教室に復帰させるべく、凛音の推理を推理することになって……
なんか、立て続けに特殊設定ミステリを読んでいる気がする。
いきなり犯人に辿り着くことが出来る能力を持った凛音。でも、途中経過がないので相手を納得させることが出来ない。なので、その過程を伊呂波が補うことになって……という形のミステリ。こういう作品は、過去、いくつか読んでいるのだけど、本作の場合は何よりも自分で説明できないけれども凛音に論理がある、という部分だろう。例えば、超能力とかで……と言うのとは違う、という意味で。
で、1編目の指輪消失事件。2編目の机への落書き事件では、その途中経過がない答えで相手を怒らせて、その後、凛音が何を元に結論を出したのか、というのを推理する。ただし、それは、伊呂波と凛音、二人の会話で、ということで読者としては解決になるのだけど、実際に解決しているのか? というと……というちょっと変わった格好の解決になっている。この辺りも特徴と言えば特徴なのかな? と思う。そのため、ある意味では、そう解釈できるよね、レベルの部分もある、というところも含めて。
そして、3編目。体育倉庫で幽霊騒ぎがある、という話を立て続けに聞いた二人。さらに、その体育倉庫ではイジメ、神隠し騒動もあるらしい。そのことを確かめに体育倉庫に向かう二人だったが、閉じ込められてしまう。どう抜け出せばよいのか? そんな試行錯誤の中、凛音は、その神隠し事件で閉じ込めた犯人を言うのだが……
前の2編で、そういう風に解釈ができる、という風に感じたいうのが上手く活用されている。伊呂波が導き出した回答。それは確かに筋道は通っている。しかし、実際には……。凛音が事実を察したときに取った行動の意味とか、そういうものが上手く回収されているのは見事。そして、弁護士を目指している、という伊呂波に対して突き付けられる厳しい言葉……。一応、特殊設定ミステリという形ではあるのだけど、読み終わると、青春もの。それもほろ苦さを感じさせるタイプの、という部分が強調されたな、という風に思う。
……で……
最後の最後の引きは何?

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Tag:小説感想紙城境介

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