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サークル 猟奇犯罪捜査官 厚田巌夫

著者:内藤了



法医昆虫学者であるジョージの事件を経て結婚した厚田と石上。新婚生活を始めたところに発生したのは世田谷での警察官一家惨殺事件。被害者は心臓を抜き取られ、現場には彼らの血で円が描かれるという凄惨な現場であった。新米刑事、新鋭の法医学者。それぞれの立場で事件に挑む二人だったが……
藤堂比奈子シリーズのスピンオフ第2作。
で、あると共に、(主人公こそ異なるが)『パンドラ』の続編であり、同時に本編の『COPY』の中でも少し触れられていた厚田、石上が過去に関わった30年前の事件の顛末を描いた物語とも言える。
……ではあるのだけど、何か歪んだ恋愛小説、という印象を強く持った。
ジョージの事件を経て結婚をした二人。とは言え、厚田、石上が夫婦であるということは、職場の人間にもほとんど告げておらず知っている人は皆無。石上は、厚田ではなくジョージの子供を宿しており、警察一家惨殺事件によって時間も取れない。そして、身重ながらも「仕事」を続ける石上は……
こうやって書いていくと、とにかく最初から最後まで徹底的に歪んだ結婚生活だ、というのを感じずにはいられない。二人とも、互いのことを尊重しているし、大事に思ってもいる。しかし、一般の結婚生活とはかけ離れた日常。さらに、事件を起こしたとはいえ、石上がジョージとの関係についてすべて決着をつけたとも言い難い状態。それでも、石上の子の「父」になろうとする厚田であったが、それすらも叶わない。厚田の言葉たらずっぷりとか、そういうものが影響を与えているのは確か。でも、そういう気遣いが出来る男だったとしても、果たして……
作中の事件についても、溺死したホームレスや、女子大生の殺害事件とか、そういうものがあり、一つの決着はつくのだけど、『COPY』にも続くように解決とは言えない話。そのため、どうしてもその部分は薄い感じがするんだよな。
本編で明らかになっているように、二人の新婚生活は破綻してしまう。けれども、じゃあ、互いにいがみ合っているか、というとそれは違う。散々、貶すような言葉を言いながらも厚田を認めている石上。石上の所見を心から信頼している厚田。そんな関係性というのがどう培われたのか、というのが理解できるような話だった。
ある意味で、両者が結婚生活を続けていたらこういう関係性にはなれなかったはず。そういう意味では、別れる、というのが最善だったのだろう、というのも感じる。

No.6001

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Tag:小説感想 内藤了

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