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〆切前には百合が捗る2

著者:平坂読



人気作家・海老原優佳理と晴れて付き合うことになった家出少女の白河愛結。一緒にお風呂で映画を見たり、担当から逃げ出したり、猫缶を食べたり……。そんな幸せな日々。しかし、その中には常に不安も……。そんなとき、優佳理を慕う人気声優・須原朋香があらわれて……
まず思ったのが、2巻になって(作品的に繋がりもある)『妹さえいればいい。』に雰囲気が近づいたな、ということ。
物語が開始されてやっているのは、粗筋で書いたように一緒にお風呂入ったりとか、そういう日常的なアレコレ。優佳理と愛結、二人が常にイチャイチャしている、という点では違うのだけど、やっていることは似たようなものだしなぁ……。てか、著者の作品では、作家=締め切りを守らずに編集者から逃亡するもの、というのは何なんだろう? ちなみに、二人は伊勢海老を食べに三重県まで行ってるけど、千葉県でも良かったのに……
ちなみに、断食道場……どー考えてもリバウンドしまくりな気がするんだけど……
そんな中で、物語とすれば、朋香の登場と終盤のアレコレだろうな。
優佳理を慕う声優の朋香。しばしば、優佳理の元へ訪れているようなのだが、愛結と同棲を開始した。そして、恋人になったということにショックを受ける。なぜならば、彼女もまた……。ある意味ではライバルの登場。しかし、愛結自身がそうだったように、周辺からの理解をされづらい存在。だからこそ、朋香の宣言には思うところが出来る。
そして、家出をした愛結に一度、実家へ戻らないか? という提案がされる終盤。家出のきっかけになったときのように、表面的に叱るとか、そういうことはしなくなった。しかし、話の根本は同じ。結局のところ「お前はおかしい」「(親の考える)普通の生活をしろ」ということばかり……。そもそもの「普通」とは違っているからこそ苦しんでいるのに、それを表面上、理解しているように見えて、結局は自分の「普通」を押し付ける。理解できない、ではなく、理解していると取り繕うことへの苛立ち。まあ、読者である自分自身だって本当の意味で理解しているのか、というのは不明なのだけど、それでも、と感じられる。だからこそ、そんなところへ現れた優佳理が格好良く感じられるわけで。
ただ……
終盤で語った優佳理がラノベ作家をしている理由。これを読んでしまうと、ちょっと別の不安も感じるんだよな……

No.6008

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Tag:小説感想GA文庫平坂読

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