著者:大倉崇裕

シリーズ第5作となる短編集。全3編を収録。
うーん……シリーズものというのは、それを重ねる中でキャラクターが増えたり人間関係が変化したり……というのはある。それがシリーズものの醍醐味、っていうのは否定しない。否定しないのだけど、本作の場合、ちょっとそれが作品の足を引っ張っていないか? という感じを受けてしまった。
なぜ、そう感じるのか? それは2作目の『蜂に魅かれた容疑者』の中で敵対することとなった宗教団体「ギヤマンの鐘」が深くかかわり、主人公である須藤、薄に攻撃を仕掛けてきたり……という場面が多く見られるため。このシリーズって、動物に関連する事件が起こり、須藤と薄がヘンテコなやりとりをしながらも、その専門知識を駆使して謎を解く、というのが魅力だと思うのだけど、今作のギヤマンの鐘関連のアレコレはその腰を折るような感じがするんだよな。
なんていうことを書いた上での各編の感想。
1編目『キジを愛した容疑者』 日塔刑事から呼び出しを受けた須藤。そこにいたのは、容疑者とされた薄。被害者は、周囲から厄介者とされている老人。老人は、自分の愛犬が薄が預かっている鷹に連れ去られたと主張してトラブルになっていた。しかし、その鷹が犬を襲ったはずがない、と薄は言う。犬が行方不明になった時に飛んでいた、という鷹。もう一羽の鷹。そして、老人が起こしたトラブル。その辺りから……という流れは面白かった。のだけど、それだけに、ギヤマンの鐘関連の話、必要だった? という気もする。
2編目である表題作。これがなぁ……
引きこもり生活を送っていた政治家の息子が殺害された。その家には巨大なアロワナが。そのアロワナの動画がネットにアップさていたが、それはマフィアから奪われたものだった。そして、周囲にはマフィアと思しき人影も。
話としては色々と入り込んだものがあって興味をひかれる。アロワナの輸入を巡っての法律上の話であるとか、はたまた、密輸ブローカーの存在。しかも、著者の別シリーズの主人公である福家も話に絡んできて……というのもいい。良いんだけど、話としてイマイチ、スッキリしないんだよな。というのも、伝説の密輸ブローカーについてのヒントが出て、そして……というところで、その決着は別のところで、ってそりゃあないでしょう!
それぞれの話は決してつまらないわけじゃないのだけど、ちょっと不満も残る部分があったかな。
No.6028

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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うーん……シリーズものというのは、それを重ねる中でキャラクターが増えたり人間関係が変化したり……というのはある。それがシリーズものの醍醐味、っていうのは否定しない。否定しないのだけど、本作の場合、ちょっとそれが作品の足を引っ張っていないか? という感じを受けてしまった。
なぜ、そう感じるのか? それは2作目の『蜂に魅かれた容疑者』の中で敵対することとなった宗教団体「ギヤマンの鐘」が深くかかわり、主人公である須藤、薄に攻撃を仕掛けてきたり……という場面が多く見られるため。このシリーズって、動物に関連する事件が起こり、須藤と薄がヘンテコなやりとりをしながらも、その専門知識を駆使して謎を解く、というのが魅力だと思うのだけど、今作のギヤマンの鐘関連のアレコレはその腰を折るような感じがするんだよな。
なんていうことを書いた上での各編の感想。
1編目『キジを愛した容疑者』 日塔刑事から呼び出しを受けた須藤。そこにいたのは、容疑者とされた薄。被害者は、周囲から厄介者とされている老人。老人は、自分の愛犬が薄が預かっている鷹に連れ去られたと主張してトラブルになっていた。しかし、その鷹が犬を襲ったはずがない、と薄は言う。犬が行方不明になった時に飛んでいた、という鷹。もう一羽の鷹。そして、老人が起こしたトラブル。その辺りから……という流れは面白かった。のだけど、それだけに、ギヤマンの鐘関連の話、必要だった? という気もする。
2編目である表題作。これがなぁ……
引きこもり生活を送っていた政治家の息子が殺害された。その家には巨大なアロワナが。そのアロワナの動画がネットにアップさていたが、それはマフィアから奪われたものだった。そして、周囲にはマフィアと思しき人影も。
話としては色々と入り込んだものがあって興味をひかれる。アロワナの輸入を巡っての法律上の話であるとか、はたまた、密輸ブローカーの存在。しかも、著者の別シリーズの主人公である福家も話に絡んできて……というのもいい。良いんだけど、話としてイマイチ、スッキリしないんだよな。というのも、伝説の密輸ブローカーについてのヒントが出て、そして……というところで、その決着は別のところで、ってそりゃあないでしょう!
それぞれの話は決してつまらないわけじゃないのだけど、ちょっと不満も残る部分があったかな。
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