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僕の愛したジークフリーデ 第2部 失われし王女の物語

著者:松山剛



暴君と化し、民を無意味に処刑するかつての君・女王ロザリンデ。その凶行を止めるべく、彼女に対峙した光なき騎士ジークフリーデ。しかし、その結末は無慈悲なものだった。助命嘆願と引き換えに、ジークフリーデは両腕を失ってしまう。責任を感じる旅の魔術師・オットーは、ジークフリーデの治療とリハビリを通し、彼女と心を通じ合わせていくが……
1巻のときとは、別の意味で「これで終わり?」という感じがした。何しろ、物語としてここで一区切り……つまり、終わり、とされてしまったのだから。
ロザリンデの凶行を止めるべく立ち向かった結果、両腕を失うこととなってしまったジークフリーデ。そんなジークフリーデの治療、リハビリに尽力するオットー。ロザリンデとは関わらない方が良い。現在の彼女は、過去の彼女とは違うのだ、と訴えるオットーだが、それでもジークフリーデの意思は変わらない。何が、ジークフリーデを? そう考えるオットー。だが、オットーの前に現れる少女・ラーラはジークフリーデがオットーに心を許している、と告げる。そして、ジークフリーデの過去を垣間見ることになって……
ロザリンデとジークフリーデの間に一体何があったのか? オットーの前に現れるラーラは一体、何者なのか? そして、そんな状況を見守る立場であるオットー、その師匠とジークフリーデたちの関係性は?
第1巻段階で色々と張り巡らされた様々な要素がしっかりと回収され、その上でひっくり返しもされている。そういう意味で、物語としてはしっかりとまとまっていると思う。思うのだけど、その一方で、1巻でかなり壮大な物語世界を作り上げていた分、ちょっと大急ぎで回収した、という感じもする。なんか、もっと話を大きく広げる予定だったんだけど……って事情があるんじゃないか、と思えて仕方がないんだよな。
ジークフリーデの高潔さ、気高さ。そんなものをもって堪能したかったな、というのがあるだけに。

No.6029

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